Q&A772 28歳、AMH 9.2、タイミングを続けています | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 28歳、AMH 9.2、精子運動率 95%、フーナー 50%ほどで、排卵障害もなく、卵管造影でも異常なし、ホルモン検査も異常ありません。
妊娠希望して1年半以上経過、昨年の8月からタイミング治療を開始していますが、特に排卵誘発剤を使用することなく、今年の2月まで行っていました。6か月経過していましたので、先生に「まだタイミングですか?」とお聞きしたところ「若いからね」との理由で排卵誘発剤も使用せず本当にタイミングだけでした。先生の記事を読ませていただくと20代では投薬治療が必須であると書かれていましたので少し疑問もありました。
今回、夫の転勤により転院したのですが、「8か月程タイミング行いましたので、そろそろ人工授精はどうですか?」と転院先の医師にお話ししましたが、「妊娠率は低いのでオススメしない。まずは誘発剤を使用したタイミングで」とのことで、セキソビットの内服を4錠分2で行いましたが、効果なく、6錠分3の内服を現在行っています。
1 人工授精はやはり精液所見もよく、特に原因が見付からない場合は妊娠率も低いのでオススメしないのでしょうか。
2 夫の仕事が夜勤等もあり、不規則です。人工授精の場合、精子凍結等もできますかとの質問を医師にしましたが、「精子凍結よりはタイミングの方がよい」といわれました。やはり精子凍結ですと、所見は悪くなりますか。
3 ステップアップせずにこのままタイミングを行っていくべきかどうか。先生はタイミングでどのような排卵誘発剤を使用していますか。

A ステップアップをお勧め致します。
20代でタイミング妊娠できないことが不自然です。何か重大な問題が隠れている可能性が高いと思います。半年タイミングを行なっても妊娠に至らない場合は、人工授精、体外受精へと進むべきですが、凍結精子を使用するのであれば人工授精では難しいことが多く、体外受精(顕微授精)が必要になるとお考えください。
1 人工授精の妊娠率はタイミングの2倍です。
2 精子凍結により精子の半数がダメージを受けます。
3 私は、タイミングでの排卵誘発剤を、セキソビット3Tx5日→クロミッド1Tx3日(隔日)→クロミッド1Tx5日の順に使用しています。発育状況によっては、hMG注射も併用します。