Q&A596 多前核が多いです | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 夫婦28歳、結婚3年目、妊娠歴、流産歴なし
結婚してすぐに妊娠を希望していましたがタイミングでは授かれず、健康診断で子宮内膜ポリープが見つかり切除したあと、半年前にクリニックデビューしました。クリニックの検査で主人の重度の乏精子症が分かり、すぐに体外受精へと進みました。先日1回目の体外受精の陰性判定を受けたところです。

誘発~採卵
D3 ゴナールF450
D4~D8 フジHMG225
D9 ゴナールF300/ガニレスト0.25
D10~D11 HMG300/ガニレスト0.25
D12~D13 ブセレキュア
D14 採卵
採卵数 28個、成熟卵数 14個、受精卵数 11個(2PN:3 1PN:1 3PN:1 4PN以上:6)、前核期胚 3個 を凍結保存、移植前周期にポリープを再切除(再発していました)
移植に向けて3個融解、分割期胚(3日目) AHA有り G3を1個移植しました。残り2個も引き続き培養していただきましたが再凍結は出来ませんでした。

多前核が多いのはやはり卵子の質が悪いということなのでしょうか。多前核受精は繰り返すということを耳にし、次の採卵でも同じ結果になったらどうしよう、と悩んでいます。改善する方法は誘発方法を変えること以外に何かありますでしょうか。卵子が取れすぎて一つ一つの質が下がるようなことはありますか。また、誘発方法はどのようにしたら良いでしょうか。色々試してみるほかないのでしょうか。

A 多前核(3PN以上)が多い理由は明らかになっていませんが、前核は精子と卵子の遺伝情報が含まれていますので、精子と卵子のどちらの原因もあり得るでしょう。誘発方法の変更によって卵子の状態は変化する可能性があります。精子については、射精の頻度を増やすことは重要だと思います。現在、多前核に対処する良い方法は見つかっていません。手を替え品を替えやっていくことが大切だと思います。

なお、子宮内膜ポリープは内視鏡(子宮鏡、レゼクトスコープ、TCR)で切除をするのが確実です。掻爬(D&C)術では多くの場合再発します。