Q&A545 人工授精のトリガー | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 妻40歳、夫47歳、人工授精
セキソビット+HCGで治療3回目のときに妊娠することができましたが、9週で心拍確認後の稽留流産となってしまいました。そのときは、人工授精処置前の卵胞チェックで排卵済(もしくは排卵中)でした。エコーには、排卵前の大きな卵胞ではなく、張りのない小さめのサイズの卵胞が見えており、ドクターは「排卵直後か排卵中」ということをおっしゃっていました。
人工授精の場合、精子も調整されていて寿命が普通よりは短いので、確率的には人工授精処置時の卵胞は排卵前より排卵後のほうがいいということなのでしょうか。あるいは、排卵後というよりも、エコーにある程度の大きさの、つまり破裂した卵胞がまだ見えているという排卵直後か排卵中がよいのでしょうか。
流産後人工授精を何度かしていますが、その後は妊娠できません。今は、トリガーがHCGではなくブセレキュアになっていて、人工授精実行日の34~35時間前あたりに点鼻するようにしているのですが、どうも毎回早めに排卵してしまうようで、人工授精処置前の卵胞チェックでは既にしぼんで小さくなった卵胞か、それすら見えなくなっているときもあります。それでも人工授精は実行するのですが、これでは遅すぎるのではないかといつも思っています。年齢的に当然体外受精も考えていますが、ベストなタイミングで人工授精をするには、半日~1日ぐらい人工授精の実行日を早めてみることも有効でしょうか。
あと、排卵は卵胞の破裂から数時間かけて起こるというのは本当でしょうか。だとすると、排卵のプロセスが完了してエコーに映らなくなるのはどれくらい(何時間)後になるのでしょうか。もちろん黄体化したものは数日後でも見えますが、それではなくて、排卵中もしくは直後と判断されるような状態の卵胞は、エコーでどれくらいの間確認できるのでしょうか。

A 排卵の現象がどのように起きるのかについて、全く明らかにされていません。お腹の中の様子を連続的に見ることができないからです。排卵の瞬間を捉えた方さえおられませんので、どのような仕組みなのかはわかりません。

明らかにされていることは、下記の2点です。
1 タイミングの場合は、排卵日よりも排卵の前日、前々日の性交がよい
2 人工授精の場合は、トリガーを使用して、排卵時間を合わせた方がよい(丁度排卵がよい)

したがって、36時間前にトリガーを行ってみてください。また、妊娠した時と同じ方法(HCG)で行うのがよいでしょう。