Q&A397 移植に向かない人がいるのか | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 夫40歳、妻40歳、男性不妊、顕微授精(採卵4回、移植5回)、AMH 0.22
39歳時に顕微授精の合間のタイミングで一度妊娠し、8週で稽留流産となりました。採卵数はショート法で2~5個、クロミッド+hMGで4個でした。毎回1~4個がそれなりに良好な胚(クリニックは詳細なグレードをつけないのですが、1とか2とか)になり、クロミッドのときは5日目桑実胚と胚盤胞で、これまで計7個の胚を移植しましたが、全く結果が出ていません。
刺激方法や移植を自然周期でするか人工周期でするか、凍結するか、胚をどこまで育てるかなど、やり方は毎回少しずつ変えていただいて、先生の工夫を感じていたのですが、最近の陰性の後、初めて、今後どうしますかという話をされました。「タイミングや人工授精は今後もしていったら良いと思うが、体外受精はお金がかかるのでご主人とよく相談してください」とのことでした。もう採卵や移植の工夫は尽くしたということかなとも感じました。
その場では気持ちが前のめりになっていましたので、夫と相談するまでもなく、次の周期での子宮鏡検査を希望し、その次の周期で採卵をしたいとお願いして帰ってきたのですが、改めて振り返ると、私は移植では妊娠しづらい身体なのでしょうか(そんなことがあるのでしょうか)。もしそうだとすると、今度の子宮鏡で原因らしきものが見つからなかった場合、夫に男性不妊のクリニックを受診して精液所見を改善してもらうなどしながら、むしろ積極的にステップダウンした方がいいのでしょうか。
ちなみに、地方の政令市のクリニックに通っているのですが、クリニックの妊娠成績は悪くないと思います。毎月の妊娠症例がウェブ上にアップされていますが、ほとんどの方は体外授精に進めば結果が出るのは早く、2コース目くらいで妊娠されているようです(皆さん、私と違って1回の採卵で多数の胚ができているのかもしれませんが。)。それを見るにつけ、私が移植に向かない身体なのか、クリニックのやり方が私には合っておらず他のクリニックでの移植であればうまくいくのか(2段階胚移植やSEET法は試したことがありません)と迷いながらも、前者のような気がして転院もためらっています。

A 現在通院中のクリニックでは、治療方針が出尽くした感は否めません。しかし、まだできることがあるように思います。たとえば、妊娠されたのは、顕微授精の合間のタイミングです。なるべく自然な形で行うなど、これまでと異なる治療をされてはいかがでしょうか。着床できる子宮であることに疑いはありませんから、2段階胚移植やSEET法も試してみる価値はあるでしょう。クリニックの方針があるひとつのプランに固執するような場合には、転院も視野に入れてみてはいかがでしょうか。男性外来の受診も必要だと思います。