Q&A320 時間差で排卵? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 先月は、月に2回生理があり、排卵も2回ありました。
1回目は18mm卵胞が右側にみえ、2回目は右18mmと左20mmの卵胞があり、内膜は8.8mmでした。薬剤は使用していません。担当医からは、卵子の育ちが早いサイクルだと言われました。右側と左側が時間差で排卵することもあるのでしょうか。母が双子のための遺伝でしょうか。右側卵管閉塞がありますので体がそれに反応しているのでしょうか。担当医は、卵子も内膜も問題ないので、とくに黄体ホルモンなどの採血検査もいらないと言います。

A 2回目に見えた右18mmは前の周期の残りである可能性が高いと思います。しかし、排卵周期が短くなる場合もあります。生理とは無関係に、卵子は毎日発育しようとしていますので、このような現象は不思議ではありません。しかし、排卵周期が短くなる方は卵巣機能が低下(AMH低下)していることが多くありますので、一度AMH採血をお勧め致します。

もし2回目の卵胞が発育してきた新しい卵胞だった場合、時間差で排卵することはありえます。体外受精で卵巣刺激をしている時、途中で1~2個だけ排卵してしまうことを経験します。遺伝的因子の関与も否定できません。しかし、卵管閉塞と卵巣の関連はないのではないかと考えます。このような場合、本当に卵胞なのか予測する意味で、ホルモン採血をしてみる価値があると思います。