Q&A222 クロミフェンで眼の症状が | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 40歳、通院1ヶ月
 人工授精に向けて、排卵誘発剤が効くかどうか試すから、セロフェン50mgを1日2回5日間服用して下さいとの指示を頂き、その通りに服用を続けてきました。セロフェン服用最終日、目に異変を感じました。朝起きてから朝食の支度をするためにキッチンに行った時に、視界の両端180度付近がキラキラしてるというか反射しているような感じで、10分後くらいには改善しました。
 気になったのでセロフェンの用法および副作用について調べてみた所、初回は1日50mgを5日間、無効の場合は、1日100mgを5日間投与ということで、初回用法が多いのかなと・・・ただ、年齢的なこともあり、治療を急がれているためなのか、添付文書にはそのように用法が書かれていますが、実際には1日100mg投与が普通なのか、用法については先生はどのようにされていらっしゃいますでしょうか。
 それと、副作用では、霧視等の視覚症状が現れる場合があると記載があり、また、虚血性視神経症と書かれてあるのも見つけました。私の見え方は、霧がかかったような見え方ではないのですが、寝起きだったことから、虚血性視神経症という副作用が起こったのかなと思いました。また添付文書には、視覚症状が現れた場合は、投与を中止して眼科的検査を行うこと、との記載がありました。最終日の晩も、飲みきって下さいとのことでしたので、最後のセロフェンは服用してしまっていました。
 このセロフェンの副作用と思われる視覚症状についていくつか教えて頂きたいのですが、どんな視覚症状が現れるのかということと、視覚症状が現れた場合は、投与中止し、眼科を受診するようにということなのですが、セロフェンが視覚症状を引き起こしたのか、元々あった眼科的病変が、セロフェンにより発現したのかということと、視覚症状を引き起こすメカニズムは何なのかということです。それと、この視覚症状の副作用は、可逆的なのか不可逆的なのかということも知りたいです。また、眼科を受診して、異常なしと診断が出た場合は、セロフェンを再度服用しても支障はないのでしょうか。それとも他剤変更が優先されるのでしょうか。クロミッドに替えた場合も成分が同じであれば視覚症状は起こると思っていいのでしょうか。

A クロミフェン(セロフェン、クロミッドと同じものです)でしばしばみられる副作用が目の症状です。人それぞれ副作用の現れ方にいろいろなパターンがありますので、一概には言えないと思いますが、添付文書には「頻度不明、霧視等の視覚症状、虚血性視神経症」とあります。虚血性視神経症は、突然に起こる急激な視力障害ですので、今回の状態にはあてはまらないでしょう。霧視「等」とあるように、霧視以外にも眼の見え方がおかしくなる様々な症状が起こることがあります。そのメカニズムについてはわかっていないと思います(もしかすると眼科医は何か新しい事実をご存知かもしれません)。中止すれば戻るとされていますので、可逆的と考えます。しかし、同じ薬剤の使用は控えた方がよいと思います。その場合の他剤としては、セキソビットやフェマーラ(自費)などがあります。
 私は、かつてクロミフェン1錠5日から開始していましたが、最近ではクロミフェンより弱いとされるセキソビット3~6錠5日を用いています。クロミフェンを3錠まで増量したり、10日間用いたりすることもあります(自費)。