Q&A96 融解した胚盤胞がなかなか戻りません | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 凍結前グレード4ABと4CAを2回胚移植し、結果待ちです。 とても不安なので先生のご意見を御願いします。融解後どちらの胚盤胞も戻りが悪く、グレード1になりました。胚自体は生きているし収縮しているだけで、今からでも戻ってくるから大丈夫と言われ移植しました。他のみなさんは融解後グレードが下がったとしてもここまでは下がっておられないようですし、2回連続となると、1回目同様結果が出ないのではないかと不安です。融解後このような事はよくあることなのでしょうか。やはり戻りが悪いと妊娠率はさがるのでしょうか。
残りの胚盤胞はグレード2と初期胚しか残っていないので、また融解しても戻りが悪いんではないのかと不安です。ただ今はお腹に戻した胚盤胞を信じて毎日を過ごそうと思っています。奇跡がおきて欲しいです。

A 胚盤胞の収縮の戻りが遅いケースは、しばしばあることです。このような胚にも妊娠のチャンスは十分ありますが、移植後に本当に胚盤胞が拡張してくるかどうかは不明です。このような場合には、もう少し体外培養を続けてハッキリさせてから移植するという方法もあります。たとえば、次回の移植では、前日に胚を融解して、一晩育ててから移植することも考慮されます。
胚盤胞のグレードのつけ方は、胚の大きさによって数字が変わるため、3が1になったとしても、必ずしもグレードが落ちたとは限りません。ABCがグレードとして重要ですが、1や2の大きさの胚ではABCがハッキリしません。大きさが戻って初めて評価が可能になります。不安感が強いと良い結果に結びつきにくいという論文もあります。「お腹に戻した胚盤胞を信じて」大らかな気持ちで居て欲しいと思います。2012.11.24「☆心のケア(心理サポート)の必要性:女性編」も参考にして下さい。