Q&A78 胚盤胞凍結はダメージを受けやすいのですか? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 胚盤胞は、分割胚より融解時にダメージを受けやすいと聞きます。胚盤胞の生存率はいかがでしょうか。実は、6回の胚盤胞移植がうまく行かず、今ある凍結胚盤胞を移植せず、次は採卵し、分割胚での移植も検討しています。担当医から胚盤胞の凍結が合っていないのでは、と分割胚移植を提案されました。胚盤胞で上手く行かない場合、分割胚の凍結卵移植を試しみる価値はあるものでしょうか。今ある凍結胚盤胞を移植するか、採卵するか迷っていますが、分割胚移植を試してみる価値があるのであれば、採卵したいと考えております。

A ガラス化法が進歩した現在では、胚盤胞凍結融解に伴うダメージはほとんどありません。生存率も99%(100%といえないための99%です)です。ただし、大きな内腔をもつ胚盤胞を凍結する際には、AS(Artificial Shrinkage)という手法を用いて内腔を縮小させることが必要な場合があります。そのような方には、ASをしないとせっかくの良好胚盤胞も台無しになってしまうことがあります。もちろん、凍結融解操作に適さない胚の方も非常にまれにみえます。私の経験上そのような方は、年間1~2人程度です。

以下の記事も参考にしてください。
2013.1.19「☆☆凍結融解胚移植のすすめ」
2013.8.15「☆癌が見つかり妊娠の可能性を残したい時」
2013.9.8「☆ガラス化法の安全性」