長期培養は大きな赤ちゃんになる? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

凍結融解胚移植による胚盤胞移植では赤ちゃんが大きく生まれることが知られています。本論文は、長期間の培養は大きな赤ちゃんになることを示しています。

Hum Reprod 2013; 28: 828(フィンランド)
要約:2000~2010年にフィンランドで体外受精により生まれた1079名の単胎妊娠の赤ちゃんについて、母親の年齢、BMI、過去の分娩歴、IVFかICSIか、不妊原因、培養期間を後方視的に検討しました。小さな赤ちゃんの割合も大きな赤ちゃんの割合も一般集団と変わりませんでしたが、培養期間が長くなるほど大きな赤ちゃんの割合が有意に増加しました(培養2日:9.4%、3日:11.5%、5~6日:18.8%)。多変量回帰分析により、培養期間(長い)、BMI(大きい)、分娩歴(有り)が赤ちゃんの体重(重い)と有意な相関が認められました。

解説:これまで、培養期間の長さと出産した赤ちゃんについての報告はほとんどありませんでした。2013.3.10「発育が速い胚盤胞は男の子になる?」で紹介したように、発育が速い胚盤胞は男の子の胚が多いようです。男の子の方が女の子より出生時体重は重いですが、本論文では、性別とは別に培養期間の長さは大きな赤ちゃんとなる独立した要因となっています。また、日本産科婦人科学会のデータでは、新鮮胚移植と比べ凍結融解胚移植では赤ちゃんが大きく生まれ、両者の出生児の体重差は約100gと報告されています。
本研究では、対象者数が若干少ないですので、もっと数を増やしての再検討が必要です。