ワクチン接種のガイドライン(米国) | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

日本では今年、風疹が大流行しており、警告文が各医療機関に回ってきます。患者さんからの質問も大変多くなっています。風疹ワクチンを接種すると、2ヶ月間は妊娠をしないように添付文書に記載されていますので、妊娠を目指している女性にとっては治療が遅れることになります。日本では、大人になるとインフルエンザワクチンを除くワクチンの接種率が極端に低くなります。国立感染症研究所 感染症情報センターのホームページでも、20歳以上のワクチン接種スケジュールは現在作成中となっていますので、米国における大人のワクチン接種のガイドラインをご紹介します。なお、各国で用意されているワクチンの種類や摂取のスケジュールは若干異なります。

Fertil STeril 2013; 99: 337
要約:米国における大人(19歳以上)のワクチン接種のガイドライン
インフルエンザ           毎年1回
DPT:ジフテリア+百日咳+破傷風 10年に1回
水痘                2回(27~59歳)
HPV(女性)           3回(19~26歳)
HPV(男性)           3回(19~26歳)
MMR:麻疹+ムンプス+風疹    1~2回(22~26歳)、1回(60歳以上)
肺炎球菌              1~2回(27~49歳) 
髄膜炎菌              1回以上(27~59歳)
A型肝炎              2回(27~59歳)
B型肝炎              3回(27~59歳)

解説:海外渡航先で様々な感染症にかかり得るため、渡航前の予防接種が行われることが多いと思います。最近の風疹の感染経路も、海外渡航先で夫が感染し、帰国後妻へ感染するというルートが多いとのことです。厚生労働省健康局では、女性だけではなく男性へも風疹ワクチン接種を勧める文書を最近(2013.1.29)発表しました。上記の米国の例でも男性へのHPVワクチン接種も同様な効果を狙ったものです。日本では、HPVワクチンは中高生の女性にしか公費で接種できないのが現状です。
国立感染症研究所 感染症情報センターの日本の予防接種スケジュール(20歳未満)は、非常に見やすいものになっていますので、ぜひ一度ご参照ください。赤ちゃんを出産すると、ワクチン接種をどうプランしようか悩みます。日本では、公費負担の定期接種ワクチンは、DPT/DT、BCG、ポリオ、麻疹風疹混合(MR)、日本脳炎であり、Hib、肺炎球菌、HPVがワクチン摂取緊急促進事業として現在は公費負担で接種可能です(2012年度末までの予定)。一方、任意接種である、水痘、おたふく、B型肝炎、A型肝炎、ロタウイルスはほとんど接種されておらず、任意接種の中では唯一インフルエンザだけが広く接種されています。