タバコの影響:女の子が生まれると… | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

2013.1.5喫煙の影響について米国生殖医学会(ASRM)のオフィシャルコメントをご紹介しました。本論文は、妊娠中の喫煙が生まれた女児の生殖機能に影響する可能性を示したものです。

Hum Reprod 2012; 27: 3593
要約:1988~1989年に出産した975名の妊婦を登録し、前方視的に2008年(分娩後19~21年)に出生児の経過を観察しました。367名の女児がアンケート調査に答え、267名が採血(FSH, LH, E2, AMH, DHEAS, T)と超音波検査を受けました。女児は母親の喫煙程度により3群に分けました(1日あたりタバコ0本、1~9本、10本以上)タバコの本数が増えると初潮が有意に早くなりました。テストステロンとDHEASは喫煙により低下する傾向がありました。卵胞数、月経周期、FSH、LH、E2、AMHは変わりませんでした。

解説:本研究は20年以上前に計画されたもので、このような長期にわたるデータは非常に貴重です。後方視的研究では、喫煙により初潮が早くなるという論文と遅くなるという論文がありました。妊孕性(妊娠する力)が本当に劣っているのか否かについては、さらに20年間の追跡調査が必要で、この女児の今後の調査が待たれます。