私のダイエット作戦 番外編:ミトコンドリアを元気に | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

「メタボリックシンドローム」の第一人者である伊藤裕先生(慶応義塾大学医学部 腎臓内分泌代謝内科教授)は、「メタボリックドミノ」を提唱した先生です。東京医師歯科医師協同組合の機関誌にそのインタビュー記事が載っていました。とても面白い内容でしたので、ご紹介したいと思います。

TMDC Mate 2012; 269: 8
要約:「メタボリックドミノ」とは、食べ過ぎと運動不足は最初のドミノで、それが倒れると→内蔵脂肪増加血圧上昇、血糖増加、中性脂肪増加、HDL(善玉)コレステロール低下:メタボリックシンドローム初期→動脈硬化、糖尿病脳卒中、認知症、虚血性心疾患、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経症:メタボリックシンドローム末期→死に至るというものです。このドミノの中で大切なのは内蔵脂肪であって皮下脂肪ではないのは、内蔵脂肪が単純に腸のお隣さんだからと述べています。
エネルギーの消費という観点からは、ミトコンドリアが重要です。ミトコンドリアは、栄養と酸素からエネルギー(ATP)を作ります。ミトコンドリア機能障害になると、ATP産生が低下するのみならず、酸素の利用がうまくできず、活性酸素の産生が増加します。活性酸素は臓器傷害をもたらしますので、ミトコンドリアの異常であるミトコンドリア病では、多くの臓器傷害が生じ、メタボリックシンドローム末期と同じ状態になります。
そこで、「ミトコンドリアを元気に」しましょうという考えが生まれます。理想は、活性酸素の産生が少なく、たくさんのATPを作るミトコンドリアで、鳥類が持っています。ヒトではどうするか。ミトコンドリアのエサを減らす、つまり栄養と酸素を減らすのがよいそうです。具体的には、カロリーは腹八分目で有酸素運動をします。動物は動いて獲物を探して(運動)、食べて消化吸収(食事)するのが基本スタイルであり、運動と食事は元来セットになっているわけです。

私ごとですが、年末年始はあまり動かないのに炭水化物を食べてしまい、少し太りました。元気なミトコンドリアを意識しつつ、「私のダイエット作戦3」を継続していきたいと思います。

興味のある方は、ぜひ伊藤先生の著書「臓器は若返る~メタボリックドミノの真実」「腸!いい話」をご覧下さい。