何を以ってプロと見なすのか。

 

判断基準は業種や見る人の立場によっても異なる。

 

パチンコ・パチスロにおいては最低でもプラス収支を残していることが条件にはなるだろう。

 

自分なら生活を維持できていることを最も重要視する。

 

昔自分が打ち始めた1980代後半から1990年頃、ネタ等を除いて純粋に店が用意した優良台を打って凌ぐパチプロの稼ぎは一日1万数千円から2万円に届かないくらいだったのではないかと思う。

 

当時の物価や住んでいる地域にもよりますが、一日10,000円あれば男一匹充分食べていくことは出来た。

 

名の通った店であれば一人くらい「ジグマ」と呼ばれるプロが居たものです。

 

またそれが優良店の証でもあった。

 


 

「白髪で角刈りのプロ」

 

自分が学生時代に通っていた駅前の小さなパチンコ屋にも羽根モノを専門に打っているプロが居ました。

 

その日二台打ち止めにしたら夕方過ぎに帰っていることも多く、夜まで打っている姿を見たことは無い。

 

N店が定休日の時だけたまに隣のH店でデジパチを打っていた。

 

意外とプロも荒い勝負をするんだなと思ったものだが、プロにとってはN店が休みの時限定の気分転換だったのかも知れない。

 

それでもいつも出していたのはさすがだった。

 

プロは白髪頭を角刈りにしており、歳はあの当時でおそらく50代後半といったところだったろう。

 

エンジのシャツにスラックス姿が印象に残っている。

 

一見してサラリーマンには見えなかったがいつも身なりはきちんと整えられていた。

 

プロは毎日店まで電車で通っている。

 

どこから来ているかは知らなかったが、わざわざ電車に乗って来なくても自宅近くにもパチ屋はあるはずなのに。

 

自分が日々悪戦苦闘しているこの駅前が余程好きなのか、まさかとは思うが実は状況が良い場所だったりするのかも。

 

N店では「ミラクルシューター」(平和)、「スーパーブラザーズ」(西陣)、H店では「パニックイーグル」(三洋)などを良く打っていたが、新要件の台が増え始め「パチンコ大賞」(西陣)が外されたあたりから姿を見なくなった。

 

おそらく60才になったぐらいのタイミングだったろうから、引退するにはキリが良かったのかもしれない。

 

一方新装開店を狙う「開店プロ」の稼ぎはどうかと言うと、ジグマに比べて時間当たりの効率が良いが稼働時間は少なくなる。

 

均すとこれも一日15,000円から20,000円くらいに落ち着いただろう。

 

先日、当時良く新装開店でかち合っていたパチプロに久しぶりに会って少し話を聞いたりしてみた。

 

正確な年齢は知らないが、おそらく自分よりは少し上。

 

丁度昔駅前で見た当時の「白髪の角刈りプロ」と同じ歳ぐらいだろう。

 

彼の方はかつてふさふさしていた髪が大分寂しくなっていたが。

 

自分は当時パチスロ狙いが多かったので彼らのグループと揉め事になったことは無い。

 

ただ、開店と同時にシャッターをくぐろうとして後ろから踏まれたり蹴らたりする程度のことはしょっちゅうだった。

 

今はどの店も羽根モノ系の台は設置が少なくなり、1時間以上掛けて隣の市まで行くこともあるそうだ。

 

聞く限り、このご時世においてパチンコで生活するというのは想像以上に大変なようです。

 

そもそも彼らは普段勝ってる話など絶対にしない。

 

そんな話をしても何の得にもならないことを知っているからだ。

 

内容によっては大事な飯のタネでもある訳だし。

 

誰かに目を付けられたりすればトラブルの元になったり、話した相手が負けが込んでいれば金の無心をされるかもしれない。

 

勝ってる話ばかりするのは三流のプロだ。

 

一流であろうと決して褒められた生き方では無い。

 

しかし、40年食べてこられたということは凄いと思う。

 

ただこの人も角刈りプロ同様、どんなに良い台を掴んだとしても朝から晩まで抜き倒す様なことはしない。

 

なるべく目立たない様に店を後にして、夜は一般のお客さんに打ってもらう。

 

程良くヤメて結果的に次の日にクギが残ってくれれば、また食い扶持が繋がる。

 

この日も夕方日当を稼ぎ出したところで帰って行った。

 

昔から変わらない「プロとしての矜持」。

 

かなり良い台なのだろうと思って見てみると、自分では到底手を出さないと思うような見た目だったのはさすがとしか言いようがない。

 

クセの良い台は見た目が悪いことが多いってことか。

 

これを見極められるのも素人とプロの違いである。

 

若かりし日に憧れたパチプロ生活。

 

あの時飛び込んでいたらと思うと、背筋がゾッとする。

 

夏にはピッタリの話でした。