一口に「魅力」と言っても色んな要素がある。
音の魅力についてその根源を探るのは、やっぱりちょっと難しい。

でも見た目の美しさならばとても分かり易い。
あのステージのライトに照らされて眩いばかりに光り輝く管体や、精密な職人技を思わせるキィの造形等々、フルートはそのビジュアルもとても魅力的である。

所謂ハンドメイドと言われるものになると、熟練の職人さんが丁寧に一つずつのパーツを手作業で仕上げ、一本一本組み上げていくのだから美しくない筈はない。
キィや歌口の繊細な仕上げは、見ているだけでもうっとりする。日本製のフルートは、この点においては世界でも類を見ない職人魂が発揮されていると言えそうだ。

更に素材も様々で、ひとつの楽器に対して、これ程多様な種類の材質が用意されていることも珍しいんじゃないだろうか。

入門モデルや比較的安価な楽器でよく使われる洋銀・洋白・真鍮(必ずしもこの素材だから安い楽器にとは限らないけれど)、モダンフルートには一番適しているとされる銀、貴金属の最高峰である金やプラチナ、トラディショナルな木材、果てはプラスチックや象牙などの変わり種のものまで多種多様であり、しかも一本の楽器に複数の異なる素材を組み合わせる事もできる訳で、選択肢が多いのは良いけれど選ぶ方はとても大変。

何故なら、それらには其々の音の特徴がある。
…とされているから。

例えば銀は膨よかで色彩に富んだ音色、金は煌びやかで音の芯があり遠鳴りする…などなど。

頭部管のみ銀、リッププレート若しくはライザーのみ又はその両方が金で管は金、管体が金でキィは銀とかメッキがプラチナとか銀に金を何%混ぜた素材であるとか…もうキリがないほどある。

しかし下手をするとその素材による違いを享受する対価として数百万円を支払うことになり、それらをアマチュア愛好家が結構な頻度で購入すると言うのだから、あるところにはあるのだなぁと関心してしまう。(勿論お金のこと 笑)

そんな事が巷では実しやかに囁かれているけれど、私個人はあまりそれらを信じすぎない様にしている。

違いが全くないこともないだろうし、いや寧ろ違いは確実にあるのだろうけれど、ことアマチュアに話を限定すれば、それだけの価格差分の価値が必ずあるとは言い難い様な気がしてならない。
結局は楽器との相性において自分に合うと思うか思わないか程度の差であり、少なくとも聴き手には50万の銀の楽器も10倍の500万の金の楽器も、違いを即答出来るレベルにない事を過去の幾つかの事例で経験した。

逆に楽器との相性が良いものとそうでないものとの違いは、傍で聴いていても比較的分かり易い。

っと言う過去の経験から、自分だけの魅力的な音を吹く為には自分との相性が良く、且つ意思を反映させ易い楽器が結果的には一番良いのではないか?と思っている。

しかし、これだけの選択肢があれば迷うのが人間というもので、長く続けていればそれだけ知識も増えて楽器にステータスやストーリー性を求めてしまうのも理解できるところではあるし、確かにそれだってフルートの魅力の一つにはなり得るのだけど、行き過ぎはちょっと…っと思っている。