平均的な狩猟採集民よりも苦労して働いたのに、見返りに得られる食べ物は劣っていた〜農業革命は詐欺? | 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ

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ユヴァル・ノア・ハラリは『サピエンス全史』の中で、「農業革命は史上最大の詐欺」だと言いましたが、新しいパラダイムから観ると、また味わい深いものがあります。

 

狩猟採集から農耕に変わったときに、浅はかで深刻な間違いをいくつも重ねてしまい、土壌を流出させ、砂漠化させたのは農耕のネガティブな機能の1つでした(不耕作というのは昔からあったのかは寡聞にして知りません。おそらくあったのでしょう)

 

(引用開始)

人類は農業革命によって、手に入る食糧の総量をたしかに増やすことはできたが、食糧の増加は、より良い食生活や、より長い余暇には結びつかなかった。むしろ、人口爆発と飽食のエリート層の誕生につながった。平均的な農耕民は、平均的な狩猟採集民よりも苦労して働いたのに、見返りに得られる食べ物は劣っていた。農業革命は、史上最大の詐欺だったのだ。

 では、それは誰の責任だったのか?王のせいでもなければ、聖職者や商人のせいでもない。犯人は小麦、稲、ジャガイモなどの、一握りの植物種だった。ホモ・サピエンスがそれらを栽培したのではなく、逆にホモ・サピエンスがそれらに家畜化されたのだ。(引用終了)(ユヴァル・ノア・ハラリ著『サピエンス全史』5章)

 

 

 

この「農業革命は史上最大の詐欺」という議論はもちろんたとえばガンドリー博士のレクチンの問題を考え、そして狩猟採集民族と農耕革命以降の脳のサイズや身体のサイズの変化を考えると妥当だとも言えます。

 

 

ただ、一方で我々人類の愚かさを棚に上げてパラドックスと言ったり、生存競争と言ったりするのは、いかがなものかと思えてきます。

農業の問題も同じで、鍬ができて耕すようになったことが土壌の流出と砂漠化を(ほぼ全ての文明で)招いたのだとしたら、果たして「一握りの植物種」が起こしたのが農業革命という史上最大の詐欺だったのでしょうか?それともあまりに安易に自然を(共生ではなく)支配できると思った人間の過ちだったのではないかと思います。

 

全てのテクノロジーはたしかに軍事技術の民生転用ですので、農業の工業化も同じ轍を踏み、爆弾が化学肥料となり、化学兵器が農薬となったのでしょう。ハーバーボッシュ法による窒素固定化とその化学肥料はは短期的な生産性を上げたかに見えて、一世紀ほど経ってみると、長期的には大失敗でした。

 

近代というか、現代の農業の工業化(大規模化、自動化、農薬、化学肥料から遺伝子組換え作物まで)を批判したいのではなく、農業のそもそもの耕す行為から議論の俎上に乗せたいのです。

 

という話をするつもりではなく、単なる話の枕のつもりでしたが、、、

 

 

巨大な生命の系統図を見ていくと、たとえば真核生物はたったひとつのバクテリアの肩の上に乗り、そして植物たちはシアノバクテリアというたったひとつのバクテリアの肩の上に乗っているということが分かります。

c.f.ミトコンドリアは真核生物の母体となった古細菌にαプロテオバクテリアが細胞内共生を経て取り込まれた 2023年09月15日

 

片方は酸素という猛毒をエネルギーに変えることができ(酸化は今でも生命にとって問題)、片方は二酸化炭素をSugarに変えることができます。どちらも取り入れるときは気体です。そしてタンパク質を合成するのに欠かせない窒素は気体としては無尽蔵に存在し、それを固定できるのはハーバーボッシュ法か、窒素固定菌だけです。

 

このバクテリアという視点で世界を見直すと(ミトコンドリアや葉緑体のような細胞内小器官もそう見做して)、視点が大きく変わります。

また、バクテリアだけを観ていると、重要なプレイヤーを見落とします(ウィルスですね)。ウィルスもまた進化を強烈に媒介します(ウィルスを良く観ればそれはRNAやDNAでしかありません)

じゃあ、ドーキンスの言うように遺伝子を中心に考えたら良いのかと言えば、それもまた間違いです。遺伝子とはドーキンスの考えと真逆で、遺伝子自体が表現型の1つでしかありえないからです。