一言で言うならば(って無理しなくて良いのに、そもそも一言では収まりきらないのに、、でも、あえて、一言で言うなら)、「すごいものを創ったな」という感じです。
全く前例が無い作品をゼロから創る絶望的な困難さを乗り越えて、美しいバレエ作品に昇華させたその豪腕と才能に驚きしかありません。
Iwaki Ballet CompanyのTOSCAを拝見してきました!
(今日はゲネプロ+本番初日、、、1日に2本舞台だったのです)
プッチーニの名作オペラTOSCAを世界で初めてバレエ化したそうです。
こんな無茶なプロジェクトを中心となって進めたのがこのお三方です。
*楽日終演後のアフタートークにて(2022/10/03追記)
*このアフタートークがまた素晴らしかったです!創作秘話のみならず、それぞれの関係性や歴史についてたっぷりと聞けました。
今や日本を代表するバレエ指揮者の井田さん、東京バレエ団の名ソリストであった振付家の竜太さん、そして全てを束ねる井脇幸江さんです。この3人の強烈なタッグで創り上げた奇跡かと思います。
振り返ってみても、音楽と振り付けのあまりに絶妙な一致は、振り付けのあとに作曲したかのようでした。
そして主演の4人(いや5人と言うべきですね)の見事な造形。
それぞれのダンサーとしてのキャラクターを活かしきった配役です。
というか、あの王子様キャラの江本拓さんをあそこまで、、、、
高岸直樹さんもその意味ではずっと端正な王子様キャラでした。
日本を代表する王子様だったのに、すっかりと悪役キャラに。
とは言え、圧巻のソロシーン(ベジャールの「ザ・カブキ」の圧巻のソロを思わせます)があることで、役の深みが増しています。
ただの権力欲と愛欲にまみれただけの人間では無いのです。
彼なりの正義感があり、彼なりの哲学があるように見えました。
幸江さんはあのような役柄を演じさせたら、驚くべき才能を示すなと今回も強く思いました。
あの味わいを出せるバレリーナはもう出てこないのではと思います。
ベジャールやキリアン、ノイマイヤーなどの世界的な振付家に愛されたと言われるだけはあります。
物語の世界を全身全霊で生き、踊りぬく様が見事でした。
そして圭太さん。
驚くほどのハマリ役でした。
強靭なテクニックと魂のこもった演技。
良い作品や良い指導者に出会う中で、ますます磨かれていくのだと思います。
梅澤さんは見事な見事な若い正義感あふれる活動家を演じていました。
IBCの団員や各バレエ団で主演級クラスの男性ダンサーを贅沢に使ったコール・ド・バレエも素晴らしかったです。どこを切り取っても豪華な舞台でした!
注目したいのはダンサーだけではなく、まだまだたくさんあります。
衣装、照明、セット、転換も見事でした。振り付け演出のサブリミナルな効果を狙った緻密さ(銃で撃つ仕草、歩いて横切るところ、舞台中央に落ちている何か)、そして井田さん率いるオーケストラの素晴らしい演奏、そして何よりもオペラ歌手2人による生歌が強烈でした。
オペラは総合芸術の極みであり、舞台芸術の王であることを示したかのようです。
全てが融合した奇跡のような舞台ですが、なんと奇跡的に明日も開催されます!
是非、劇場で!!
c.f.愛の夢は永遠に無に帰した 時は過ぎ 絶望の中で僕は死ぬ これほど命を惜しんだことはない(トスカ) 2021年02月21日
c.f.♫愛の夢は永遠に無に帰した 時は過ぎ 絶望の中で僕は死ぬ これほど命を惜しんだことはない♫ 2021年06月19日
🇮🇹オペラの名作を、世界初のバレエ化✨
— 井脇幸江 (@IwakiYukie) September 30, 2022
『TOSCA』全3幕
10月1日(土)17:00 開演
10月2日(日)15:00 開演
新宿文化センター
〜あなたを 守りたいだけだった〜
オーケストラの演奏とオペラ歌手の歌声と共に
当日券は開演1時間前より劇場窓口にて販売致します🎟 pic.twitter.com/rnqd2MGtBL
【動画紹介】
いつもパバロッティなので、ドミンゴで!
♫僕の愛の夢は永遠に無に帰した。
時は過ぎ、
絶望の中に僕は死ぬ、絶望の中に僕は死ぬ。
今ほど命を恋しく思うことはなかった!♫
*明らかな某映画のオマージュのようなTOSCAのラストシーンですが、、、実は振付の竜太さんは振付しているときにはこの映画のことを知らなかったそうで、、、、。