彼女らの顔は雪のようにまっ白であるが、若々しくて美しい。そしてぞっとするように明るい声で笑い、 | 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ

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バレエの代名詞と言えば白鳥の湖ですが、白鳥の湖に至るまでに重要な2つの作品がありました。

それがシルフ(風の精)を題材としたその名もシルフィード、そしてジゼルです。

 

 

ジゼルというのは雑誌の名前ではなく主人公の村娘の名前です。

 

シルフィードが精霊という意味であり、ジゼルは人の名前、そして白鳥の湖と共同体もしくは共同体のいる場所(湖)になるのは興味深いと言えます。

 

この3つを総称してバレエ・ブラン(白のバレエ)ということもあります。

いわゆるバレエらしいバレエがこの3作品ということです。

 

ラ・シルフィード → ジゼル → 白鳥の湖

 

と進化していきます。

 

 

どれも男性がヘタレとして描かれるのが特長的です。

そこそにモテる男性が、可愛い子二人に二股をかけて、すべてを失うという非モテ文学らしい展開です。

 

整理されていて分かりやすい白鳥から考えてみましょう。

白鳥の湖では結婚相手を見つけなければいけない王子様が主人公。冒険したいのに、レールに載せられることを不満気味な若者です。ありがちです。

 

 

で、端的に言えば、彼は白鳥と黒鳥に二股をかけます。

しかし、これはちょっと王子にとっては気の毒な展開です。彼は白鳥と黒鳥が瓜二つで間違えたのです。他の男性主人公に比べたら不可抗力な感じがします。

結果はハッピーエンディングからバッドエンディングまでいろいろとあります。

自分が死んだり、二人とも死んだり、二人とも生き残ったり、いろいろなヴァージョンがあります。

 

ラ・シルフィードという作品ではエフィーという婚約者を持つジェームズが、シルフィード(精霊)に誘惑されるという物語です。

エフィーがいながら、隠れて動画を見るようなノリで(多分)、シルフィードに浮気をします。

そのうち、シルフィードにぞっこんになり、束縛したいと思って、殺してしまうという悲しいお話です。

ラストシーンが秀逸で(あ、ネタバレになりますが)、かつての婚約者であったエフィーを狙っていた村男に奪われて終わります。二人の結婚の鐘の音と挙式のシーンが背景に流れるというなんとも衝撃的な終わりです。

 

 

ありがちな三角関係です。

三角関係のもつれで二兎追う者は一兎も得ずとなります。

エフィーは人間であり、シルフィードは妖精です。ジェームズには見える妖精がエフィーには見えないというのがポイントで、この三者の踊りのシーンは非常美しいものです。

東京バレエ団では井脇幸江さんがこのエフィーを当たり役にしていました。

 

同じように白鳥の湖では、王子が白鳥に恋をして、そして勘違いしてそっくりの(色が違う)黒鳥に愛を告白してしまいます。悪魔の策略に嵌められたのです。

 

ラ・シルフィードも白鳥も男性主人公に少し同情ができます。

白鳥の王子は騙され、ジェームズは幻想のような妖精に幻惑されただけと言えます。

 

 

でもジゼルの場合はかなりひどいです。

ここでの王子はアルブレヒトと言いますが、身分ばかりか名前すらも偽ってジゼルに近づきます。

 

政略結婚で決められた婚約者よりも、可愛い村娘を見初めてしまったということなのでしょう。

宮廷生活から逃れたいということもあったでしょう。

 

 

貴族の世界と村の世界、、、、、

 

決して交わらないはずの2つの世界が、、、、、

 

 

という感じで予告編が作れそうですwww

 

交わらないはずの2つの世界がランダムに交わってしまうのです。

 

それもあろうことか、アルブレヒトの婚約者であるバチルド姫とジゼルが結果的に仲良くなるという、、、www

アルブレヒトが二股をかけていた双方が仲良くなるのです。

 

「あなた好きな人がいるの?」

「います!」

「私もよ」

「え、一緒ですね!」(「それぞれの相手は同一人物だよ!」と観客はツッコムわけです)

 

 

というような会話が、二人の間で和気あいあいとなされたりするのです。

なかなかスリリングです。

 

悪いときに悪いことは重なるもので、密かにジゼルを愛する村男が「あいつ誰だよ」と貴族のアルブレヒトの素性を暴こうとします。

彼は彼なりの正義感なのですが、非モテをこじらせて、幼馴染のジゼルに相手にされないもので、暴走して、それが結果的に悲劇を起こします。

 

余談ながら、この幼馴染のヒラリオンをイケメンが演じるとかなり同情的になり、そうでもない人が演じると、「お前が悪い」と思われがちになります(当社調べによる)。

彼は本来はエフィーと結婚できた幼馴染のガーンと同じ役どころながら、ウィリーという精霊というか、死靈というか彼らに呪い殺されるというかわいそうな役割でもあります。

彼は非モテをこじらせすぎただけなのです。そして正義感が強すぎた。

 

 

ちなみに、シルフにせよ、ジゼルにせよ、白鳥にせよ、女性主人公は全く無垢というか、悪意ゼロ、過失ゼロとして描かれます。

 

悪いのはいつも男ですw

 

 

ラ・シルフィードで悪役を演じるマッジは白鳥の湖ではロットバルトという悪魔になります。

ジゼルではウィリという死靈集団のボス(ミルタ)が悪魔に準じる役割ですが、、彼女自身はむしろ恨みを晴らしているだけで、悪魔はありません。

これもまた東京バレエ団時代は井脇幸江さんが十八番としていました。ルグリもマラーホフもジョゼ・マルティネスも呪い殺そうとしていましたw

 

ミルタはウィリたちをまとめるボスですが、面白いことに、白鳥の湖ではこのミルタの役回りを白鳥(オデット)自身が行います。

 

そのかわり悪魔ロットバルトというラスボスがその後ろに配置します。

悪魔ロットバルトはマッジの進化系です。

 

 

ラ・シルフィードでは、マッジはもっと弱い役回りで、狂言回しでしかありません。

 

 

マッジ ー ミルタ ー ロットバルト

 

です。

 

同じ分類で言えば、主役の女性が

 

ラ・シルフィード ー ジゼル ー 白鳥(オデット)

 

です。主役の男性は、

 

ジェームズ ー アルブレヒト ー ジークフリート

 

そしてかわいそうな婚約者は

 

エフィー ー バチルド姫 ー 黒鳥?!

 

 

ラ・シルフィードは最初から最後まで妖精ですが、白鳥は最初から最後まで人間です。人間の王女が白鳥に呪いで変えられただけです(カエルに変えられないだけ、ラッキーです)。

 

それに対して、ジゼルはその中間です。

 

 

一幕で純粋な愛に生きる村娘(ただし心臓が弱め)、二幕では死んでも死にきれない幽霊として、ウィリに加わります。

 

 

ハイネはこう描きます。

 

彼女らの顔は雪のようにまっ白であるが、若々しくて美しい。そしてぞっとするように明るい声で笑い、冒涜的なまでに愛くるしい。そして神秘的な淫蕩(いんとう)さで、幸せを約束するようにうなずきかけてくる。この死せる酒神の巫女たちにさからうことはできない。

 

そして、そこに居合わせた男は死ぬまで踊らされます。

 

そして夜なかに地上にあがってきて、大通りに群れなして集まる。そんなところへでくわした若い男はあわれだ。彼はヴィリスたちと踊らなければならない。彼女らはその若い男に放縦(ほうじょう)な凶暴さでだきつく。そして彼は休むひまもあらばこそ、彼女らと踊りに踊りぬいてしまいには死んでしまう。

 

サルトルは「人は自由の刑に処されている」と言いましたが、ダンサーもまた踊りという呪いにかかっています。

どれほど身体を壊しても、人生を壊しても、ダンサーは踊り続けます。

 

踊りに踊りぬいてしまいには死んでしまう。

 

のはかわいそうな男たちだけではなく、ダンサーすべての呪いなのではないかと思います(もちろん彼らはそれを「呪い」ではなく、自分で自由に選択した「祝い」であると考えていると思いますし、その通りとも思います)。

 

ヒーラーが好んで自分の身体を壊しても人をヒーリングしたいのと同じです(たぶん)。

 

 

白いバレエ(バレエ・ブラン)の3つの作品はクラシック・バレエらしい作品です。

ラ・シルフィードは土臭く、白鳥の湖はあまりに洗練されすぎて機械的です(それゆえ驚くほどのパターンがあります)。ジゼルはこの2つに挟まれたバランスの良い作品で、ほとんど振り付けに手を付けられることなく、現在に至るまで多く上演されています。

 

 

明日の公演も楽しみです!!