アリアドネはテセウスに恋をしました。
ひと目で恋に堕ちたのです。
しかし、自分はクレタ島の王女であり、テセウスはいわば憎き敵国であるアテネの英雄です。
禁断の恋です。家族と国家を裏切る恋です。
*アリアドネ〜
でも運命は往々にしてそんなものです。
ロミオとジュリエットも争いあう2つの家という場が設定されていたからこそ燃え上がったのです(たぶん)。倦怠期に入ったカップルは家族同士でお互いに殺し合いをしてみるというのも一つの方法かもしれません(冗談です)。
なぜ敵国アテネから勇者テセウスがやってきたかと言えば、もちろん表敬訪問などではなく、生贄(いけにえ)としてです。
生贄?
そう、生贄です。
迷宮の奥深くにミーノータウロスという怪物が棲んでおり、その怪物のために数年に一度、アテネから男女の少年少女を生贄(いけにえ)にするためです。
*ミーノータウロス(想像図。いや、全部が全部、想像図ですが)
*でも、アベンジャーズに慣れた我々からするとこれが怪物に思えないですねー
*面白かったですw
その生贄のひとりがテセウスでした。
一説によれば、テセウスは自分から進んで生贄を志願したそうで、、、別に世をはかなんだわけでも、怪物に食べられたかったわけでもなく、怪物を倒すために。
で、そのテセウスにアリアドネは恋をします。
叶わぬ恋ばかりか、テセウスは生贄として殺される身です。
そこで、アリアドネはダイダロスに相談をします。
ダイダロスって誰だよと思うかもしれませんが、このダイダロスというのはあのイカロスのお父さんです。
そしてこの迷宮自体を作ったひとです。
そればかりか、ミーノータウロスを孕(はら)んだことにも深く関わっています。
そう、ミーノータウロスは突然出てきた怪物ではなく、実はアリアドネの異父兄弟です、、、
いや、父というか、人ではなく、雄牛なのですが。
なぜアリアドネのお母さんは雄牛と交わったかと言えば、これは旦那が悪いのです。旦那とはもちろんアリアドネのパパですね。
旦那がポセイドンを怒らせて、その結果として、アリアドネのお母さんであるパーシパエーが雄牛に欲情するように呪いをかけたのです。
なんで、旦那の罪を奥さんがかぶらないといけないのか良く分かりません。神様はいつも陰険です。
とは言え、牛にも選択権があります。人間とは交われません。
そこでパーシパエーがイカロスパパのダイダロスに相談したら、ダイダロスはサクッと牛の着ぐるみをつくってくれました。
*雄牛も大興奮?w
ポセイドンを怒らせたのも牛がらみで、そもそもそのミーノース(アリアドネのパパ)が生まれたのも、牛がらみです。ミーノースは実はゼウスのご子息です。
昔々、ゼウスがエウロパという美しい女性に恋をして、いつもながらだまし討ちをします。
今回は白鳥ではなく、白い牡牛に化けます。
エウロパが牡牛にまたがると突如として走り出します。そしてラテン半島(マッキンダー)を所狭しと、駆け巡ります。まあ神様だから可能な技です(エウロパを乗せて、ゼウスこと牡牛が走り回ったところがエウロパにちなんでヨーロッパと名付けられます)。
*右下の無垢な表情をした美しい牡牛が老練で狡猾で女たらしのゼウスです。
そしてクレタ島にやってきて、「本当は僕は美しい白い牡牛なのではなくゼウスなんだよ」と拉致して、島に監禁した上でネタバラシをします。もう鬼畜です。
でも、ストックホルム症候群のせいで、エウロパはゼウスと結ばれます。そしてミーノースたちを生みます。そのミーノースが牛がらみでポセイドンを怒らせ、その呪いとして、ミーノースの奥さんが牛とまぐわって怪物を生むのもまた何というか運命を感じます。
そしてその怪物を殺すために立ち上がったのがアテナイの英雄テセウスです。
ですので、かわいいアリアドネは自分の恋を成就するためには、自分の兄弟を殺し、敵国からの生贄を生かして駆け落ちせねばなりません。
大変な恋です。
でも、無茶でも突き進めるのが若さです。
さすがゼウスの孫娘です。
このズブズブのソープオペラのような、昼メロのようなドロドロ感がギリシャ神話の楽しさです。
*「押すなよ、押すなよ」
*ダイダロスとイカロス。イカロスを突き落としているように見えますが、違います。天使のように見えますが、これは羽をどうやって羽ばたかせていたのでしょう?
*よく誤解されますが、イカロスの伝説は、人は羽で飛ぶことができないというものではなく(実際に、お父さんのダイダロスは成功しています)、傲慢を戒めるものでした。太陽に近づきすぎるな、と言われたのに、自信にあふれすぎて傲慢となり、羽が溶けて落ちたのです。
お父さんのアドバイスは2つです。「湿気を避けるために海面から離れよ」、「蝋が溶けるのを避けるために太陽に近づきすぎるな」というものでした。
アリストテレスっぽいですね、中庸ということですね。
まあ、それはともかくとして、迷宮の解き方は製作者本人に聞けということでアリアドネはダイダロスに聴き、ダイダロスは魔法の毛糸をテセウスに持たせることを提案します。
迷宮というのは、まさに3次元空間に広がる迷路です(まあ3次元というか2次元と言ってもいいでしょうが)。しかし、テセウスはリニアに解決する方法を提示します。それもシンプルに。
それが、毛糸です。
チルチルミチルではなく、ヘンゼルとグレーテルが森の中で迷わないようにみちみち小石を落としていきますが、それと同じです。
徴を残しておけば、それをたぐっていけば戻れるのです。
どんな深い迷宮であっても、そういうアリアドネの糸というのは存在します。
今回はその身体バージョンをオンラインレコードでやりたいと思っています。
前説が長すぎて、本題に入る前に終わってしまいましたが、、、、今回のオンラインレコードもかなり面白いです。
これまでの「まといのば」で繰り広げてきた身体系の様々な知見をオンラインレコードにふさわしくギュッと詰め込んで、シンプルに(リニアに)仕上げます!
繰り返し聴くだけで、ついワークをやりたくなり、そしてついつい身体がレベルアップしてしまうようなそんなコンテンツです!!
アリアドネの糸の身体版である「アリアドネのカラダ」を是非、お楽しみに!!
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