第6回で更新がストップしているメールセミナーでも触れましたが(まだ続きます!)、ペネロペ・クルスが今年のSexist Womanに選ばれました。
先週NYに訪れた際に、Esquireの当該号を衝動買いましたが、この号はもちろんアマゾンでも買えます。
Esquire [US] November 2014 (単号)/Hearst
¥1,274
Amazon.co.jp
アマゾンではなくとも美しい写真はスライドショーで見ることができます。
彼女はインタビューの中で、ハムレットを引いてこう言います。
Assume a virtue, if you have it not.
直訳すれば、「美徳を装いなさい、もし持っていなくても」とでもなるのでしょう。assume自体の語源はラテン語の「装う」です。
クルスは、自分が世界で最もセクシーな女性だとは思えない、と言います。
She doesn’t feel like the sexiest woman alive, she says—she feels like a mother who doesn’t get enough sleep; Bardem is filming in South Africa, and she is anxious to return to her children—but given the role, she will play it. “Assume a virtue, if you have it not,” Cruz says, quoting Hamlet. It is one of her favorite lines.
(私は自分を最もセクシーな女性だと思っていません。寝不足気味な母です。旦那は南アフリカに撮影に行っており、私は子供のもとに戻りたいと強く願っています。しかし、与えられた役があるなら、それを演じるだけです。お気に入りのハムレットのセリフをつぶやきながら
「持っていないならば、せめてあるふりを」)
盛況に終わった気功整体師養成スクールにおいても、大きなテーマはこの “Assume a virtue, if you have it not,”でした。
Virtueかどうかは別として、 “Assume a something, if you have it not,”です。
持っているかどうかは別として、持っているふりをすることです。
Esquire [US] November 2014 (単号)/Hearst
三島由紀夫の長編二作目の「仮面の告白」にこんなシーンがあります(改行は引用者)
(引用開始)
もとより劣等性という存在は先天的な素質によるものながら、私は人並の学級へ昇りたいために姑息な手段をとったのだった。
つまり内容もわからずに、友達の答案を試験中にこっそり敷写しをして、そしらぬ顔でそれを提出するという手段であった。
カンニングよりももっと知慧のない、もっと図々しいこの方法が、時として見かけの成功を収める場合がある。彼は上の学級へのぼる。
下の学級でマスターされた知識を前提にして、授業は進行し、彼にだけは皆目わからない。授業をきいていたって何もわからない。そこで彼のゆく道は二つしかなくなってしまう。
一つはグレることであり、一つは懸命に知っているように装うことである。(引用終了)三島由紀夫「仮面の告白」
劣等生という存在が先天的な素質かどうかはともかくとして、人並みになりたいための姑息な手段として、カンニングよりも安易な手法として友人の答案を丸写しする気持ちは分かる気がします。
しかし、驚くべきにそれが露呈せず、そしてそのまま進級まで成功してしまう!(三島は見かけの成功と言います)。
しかし進級先の授業は当然ながら、下の学級で学んだことを前提とするため、自分だけ全く分からないという現象がおきます。
いろいろと突っ込みどころはあります。上の学級に行って、「皆目わからない」のは果たして自分だけなのか、それともみんなそうだったのか。
結論を先取りすると、優秀な人と目される人はしばしば、“Assume a virtue, if you have it not,”が上手だったりします。
この小説は自伝的小説とされています。もしかしたらカンニング以下のことをしたという(仮面の)告白なのでしょうか?
学習院に初等科から入った三島は「懸命に知っているように装う」ことで、高等科で首席で卒業。卒業生総代となり、卒業式に臨席した昭和天皇に恩賜の銀時計を拝受しています。ちなみにその後、東大法学部から大蔵省へ入省。超エリートコースです。しかし任官の翌年に、小説に集中したいと辞職。そして書き始めたのが「仮面の告白」です。翌年に脱稿し、この作品で一躍注目を集めます。
話を戻して…カンニング以下のチーティング(ずる)をした人間が、首席で総代でしょうか(^^)
2つの選択肢があるといったときは、大概は選択肢は1つしかありません。
明後日開講する寺子屋「神学」では、神の啓示に対して我々が取るべき選択肢は1つ。従うか反抗するかですw
当然ながら神に反抗することなど不可能です。
グレるか、知ったかぶりをするかという二択で言えば、東京・四谷で生まれお坊ちゃんとして華族教育を受けた三島に「グレる」という選択肢はありません(後年の「楯の会」はグレたにしては、ちょっとやりすぎです)。
一足飛びに結論に飛びつけば、我々もクルスの真似をして、“Assume a virtue, if you have it not,”と独り言(ご)ちましょう。
ダンサーとしても、ヒーラーとしても、教師としても、コーチとしても同様です。
自信がない、経験がない、IQがない、、、、、と言わずに、「せめてもっているふりを」(^^)