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Hanakoの怪談ブログ

身近な怪談話を集めました。

それから一週間ほどたった頃。N子が枕と布団を持って、私の部屋にやってきた。

「えっ、どうしたん?」

「あの部屋無理。もう一人で寝られない。」

とにかくN子を部屋に入れ、話を聞くことにした。

 

あの一件のあと、N子は友人Rの部屋を訪ねた。

彼女より2年先輩のRは、N子が寮に越してきた時に、引越しの手伝いをした友人の一人だ。

 

話の流れで、N子はこの前の一件をRに話た。もちろん怖い話としてではなく、笑い話として。

自分のいない部屋から音がした、なんて脅かしてくるんだよ、ひどくない?まじかー、ひどいな。笑って終わるはずの話だ。

ところが話を聞き終えたRの様子がおかしい。笑うわけでも、茶化すわけでもなく、ただ黙っている。どうしたの、と声をかけようとしたその時、おもむろに、Rが口を開いた。

 

「お前に言ってないことがあるんだよ…」

 

そう言ってRが話し始めた。

 

N子が寮に越してきた時、Rが手伝いに来たことは、先に書いた通り。

その時RはN子に、「そういえばこの部屋、前に友達が住んでたわ。」その時は、特にそのことについて話をしたわけでもなかったので、N子もすっかり忘れていた。

 

「あの時、お前怖がるかと思って言えなかったんだけど…」

過去その部屋に住んでいたというRの友人A子は、ある夜突然Rの部屋にやってきた。

こんな夜遅くにどうしたのかとRが尋ねるより先に、A子が今晩、いや、当分泊めてくれないか、と切り出した。

かなり切羽詰まった様子だったので、とりあえずA子を部屋に入れ、話を聞くことにした。

 

寝る支度を整えて、いつも通りベッドに横になり電気を消したA子。

しばらくしてうとうとし始めたころ。コンコン、と部屋をノックする音がした。

‘’Yes?‘’と返事をしても名乗らないので、‘’Who is it?‘’と続けても返事がない。

(まぁ、いいか)再び寝ようとすると、またコンコン、とノックの音が聞こえた。

(もう、誰だよ!)再度誰かと尋ねたが、やはり返事がない。正直めんどくさい、と思ったが、もし誰かのいたずらなら、自分が反応するまでいつまでも続くかもしれない。そのほうが面倒くさいので、起き上がって部屋の外に出てみた。誰もいない。

まだ深い時間でもないので、廊下は各部屋から漏れる音でやや騒々しい。

(隣の部屋か、上の部屋の音かもしれない)そう思い直して、ドアを閉め、再びベッドに戻った。

電気を消す、うとうとし始める。するとまた、コンコンとドアをノックする音がした。

今度は返事もせず、音の出所を確かめようと耳を澄ましてみた。するとまたコンコン、とノック音がした。

(やっぱりドアのほうからするな…。隣の子がドアの近くで何かしてるのかな?それともに2階の子が何か落とした?)

さらに耳を澄ます。また、コンコンとノックが聞こえる。しかし今回のノック音で、A子は背中がゾクッとした。

(ちがう、これ…ドアじゃない。ドアじゃなくて…)その先を考えたくないA子の耳にまたノック音が聞こえた。

今度ははっきり、音の出所が分かってしまった。

(これ、ドアじゃなくて、ドアの横の…クローゼットの中からだ!)

そう分かった瞬間、A子はベッドから飛び起きて、枕と布団をつかむと一目散にドアに向かった。部屋から出ると、無我夢中でRの部屋まで走った。とにかく自分の部屋から一番遠いところ。Rは自分の部屋から一番遠い部屋に住んでいる友人だった。

それ以来A子は、夜は一度も部屋に戻らず、荷物は昼のうちにRやほかの友人の部屋へ移し、1か月ほど友人の部屋を転々としたのち、町で友人数人とフラットを借りたそうだ。

 

話を聞いた後、N子は自分の部屋へ戻ったが、当分自分の部屋で夜を過ごす気にはなれず、私の部屋や、ほかの友人の部屋を転々としていた。数週間たった頃、めんどくさくなったのか、自分の部屋に戻って夜を過ごすようになり、その後は何事もなく学校を卒業するまでその部屋で過ごした。

 

最終的にN子は、最初に私たちが彼女を脅かすために嘘をつき、そこにRがさらに彼女を怖がらせるための嘘をついたのだという結論に至った。

もちろん私はうそをついていない。