2月末に,某国立大学附属小学校の研究会に参加してきました。この学校に行くのは今年3回目です。授業は2本見られました。1本目は,6年生の「確率」です。
いきなり,左のような問題が書きだされました。完全に中学校での確率の問題のように見えます。珍しいのは,「2本目に当たりを引く確率」を考えていることです。一般的によくあるのは「最低1回は当たる確率」などを求めることがおおでしょう。実際このクラスでも前時は,「2本とも当たる確率」を考えて,本時を迎えたそうです。
私がこの問題を見て最初に思ったのは,子どもたちから見たときに,
「何の確率を考えたらいいのだろうか。」
ということがイメージしにくい点です。後の研究会でも指摘させてもらいましたが,Bの場合,最初にあたりを引くのとはずれを引くのとでは後の確率が変わってしまいます。だから分けて考えなければならないのですが,子どもから見たときの違和感は,
「1本目を引く前の確率なのか,2本目を引く前の確率なのか。」
ということではないかということです。その日は代案まで言えなかったのですが,
「まず,実際にAのくじをする。1本目あたりだったのに,それを戻して2本目が勝負です,と言われ,何だ1本目は練習だったのか,という印象を持たせる。」
「次に,Bでも行い1本目の結果に一喜一憂する状態を作る。1本目が当たりだと損で,外れだと得になるという印象を持たせる。」
「そのうえで,AとBのどちらのルールでやりますか,と尋ね判断させる。」
が,私の代案です。こうすれば,「1本目を引く前の確率で判断しようとしている」という意識を作ることができます。
実際の授業では,右のような「樹形図」が出てきて,大変レベルの高い話し合いが進んでいきました。結果的に,どちらのルールでも「3/8 37.5%」になるところがこの教材の面白いところです。これも後の研究会で指摘させてもらったのですが,この樹形図は,全体の「56」が見えていません。56の中に当たりの21が見えないと,理解できない児童もいたのではないかと思いました。
なお,授業者が終盤に強調されていたことに,
「6と15,2回とも当たり6と,2回目だけ当たり15は同時に起こるかな。」
ということの意味は子どもたちには伝わっていないでしょう。同時に起こらないことは分かっても,なぜそんなことをいうのかはわからないでしょう。確率論の話でいくと,
「確率の加法定理は,それぞれの事象が排反である場合に成り立つ。」
という「教材論」をしっかり理解されているが故の展開だと感じました。
ちなみにこのくじを引く回数を3回にして,同じことをしても確率は「3/8」のままになりました。(計算しました)数学って面白いですね。鋭い子どもたちと教材研究がしっかりできた授業をされる先生に感謝したいと思います。