怒涛の三日連続研修4本目は,前日に引き続いて戻ってきた学校で,6年生の活用問題です。
左のような問題で,ミカン箱1箱に入っているミカンの個数を考えるという問題です。これ自体はよくある問題で,重さを使って比例関係で解決します。この日も子どもたちはその発想でこの問題に取り組みました。
まず,ミカン箱全体の重さと,箱の重さが分かっているので,箱の中のミカンだけの重さが分かりました。あとは,みかん1個の重さが分かれば解決できます。班ごとに考えていきます。ミカンは1個ずつ重さが違うので,「平均」を使わなければならないこともよくわかっています。先生の方から1人に1個ずつ渡されたので,各班の人数がそのまま平均をとるためのサンプル数になっています。
その結果を使って,各班が出した結論は右の表のとおりです。2つの班が46個で,あとの班は48個となっていました。ここで,
「では,箱を開けて本当の数を数えてみるよ。」
となりました。その時,
「みんなは,この結果がどのくらいの割合であってたら満足しましすか。」
とたずねました。「正答率」という言葉はこのような場面で使うのかどうかは分かりません。それでも子どもたちは,
「3%くらいならいいんじゃないかな。」(97%~103%)
ということにり,数えていくと,実際は51個となりました。そうなると正答率は「88%」や「92%」となり,予定していたものよりも大きく外れてしまいました。
その原因として,サンプル数が少ないことが指摘されていきました。そうなると,
「サンプル数として妥当なのは,何個くらいなのか。」
ということに話が進んでいきました。その時に,授業者は「ソフト」を用意していました。それは,一人ひとりの選んだミカンの重さを出席番号順に入力していった時の,正解とのずれがグラフになるようなものでした。
左のものがそれです。出席番号1番の児童は,正解とたまたま全く同じだったので,100%を示しています。しかし2人目からはいろいろとばらついていき,その都度正答率が変化していくので,グラフがガクガクになっています。
ところがある所(30くらい)から,このグラフが水平に変移し始めています。このあたりのサンプル数が得られれば,安定した結果を得られることが分かるのです。詳しいことは次時以降に考えるということで授業は終了しました。
私はこの日の授業よりも,この結果を見て,統計学上の話に感激してしまいました。まず,どの程度の「正答率」なら納得するかという話で,子どもたちが「97%から103%」といったことです。統計学では「正答率」ではなく,「誤差」の方を数値化します。平均値の検定を行う場合,「t検定」という手法を取りますが,この時の誤差である「有意水準」は,5パーセントにするのが一般的です。これは「両側検定」の話になるので,かたがたでいえば「2.5%」になります。子どもたちが設定した「3%」は,素晴らしい値を選んでいます。
一方,サンプル数が多い場合は,先の「T検定」をしますが,サンプル数が少ないときは「スチューデントのt分布」になるので検定方法が変わってきます。その時のサンプル数は「25~30」が基準となるので,まさにその数値でグラフが平行になっているのです。昔勉強した「統計学」の内容がそのまま表れた授業だったので,それに感動してしまったのです。
したがって,後の授業研究会では,乾燥しか言えずに申し訳なかったと思っています。すばらしい教材をありがとうございました。