前時は,「×何十」の計算ができるようになりました。この日はそれを受けて,「×何十何」に進めます。ただしその前に,整数の計算について確認しておきます。整数に関して,足し算や引き算はもう新しく学習することはありません。しかしかけ算やわり算は,4年生になってもまだ新しい計算を学習します。そこで,現時点で使うことのできるかけ算を小黒板で確認しておきます。九九の範囲と,「×何十」までが使え,その例として15問を示しておきました。
 ここから本時の問題文を黒板にかき,子どもたちは視写をします。すると,
「えっ。」「おかしい。」
という呟きが起こります。聞いてみると,「何個買うのかが分からないとできない。」というのです。確かにその通りです。そこで,
「イチゴの個数は,イチゴのイラストをわたすので,それで数えてみてください。」
と言い,プリントを配りました。わたしたブリントは「号車」によって違うものを与えています。「4×6」「8×3」「20+4」の3種類です。
「そのイラストを使いながら考えていきますが,答えを求めるための式は,小黒板にある15の式しか使えません。がんばって答えを求めましょう。」
と投げかけ,自力解決に入りました。
 5分強の時間をとりました。なんとか求められている児童は数人です。他の児童の多くは手がついていません。それでも「8×3」のイラストをもらった号車は,半分近くが答えを出せています。そこでその班の考え方を発表してもらいました。
 最初に「25×3=75」という式が出たので,イラストのどのいちごの値段が出たのかを考えます。それが分かれば,
「じゃあ,この後はどんな式が来ると思いますか。」
といった手法で,1つ目の意見を引き出します。これの反対「25×8」から取り組んだ考え方も同様に取り上げます。
 この2つのアイデアは,どちらも「縦か横の1列分」を出して考える方法になっています。
 このアイデアが共通理解できれば「4×6」のイラストでも同様の考え方が出てきました。
 問題は,「20+4」のイラストです。これは今までとは違う考え方が必要になってきます。一人だけ「25×2×10+25×4」というアイデアをしている児童がいたので,最初の式「25×2×10」を発表してもらいました。すると,
「そんな式ないよ。」
という声が出てて来ます。確かにその通りです。そこで,この児童が出したかったのは,イラストのどの部分なのかを予想しました。イチゴ20個分のようです。
「それだったら,25×20の式がある。」
ということが発表され,それに25×4を足せばよいことがまとめられました。
 こうして,この日は6通りの方法で答えが見つけられました。この問題を素直な文章題にします。そうするとこの問題の式は「25×24」になります。かける数が「何十何」になるかけ算は初めてです。しかしここまでの活動で自然に既習の計算を使って求められていたわけです。しかも6通りもの方法で。
 この授業の意図は何か。こんな特殊なことをやって意味があるのか,という意見もあると思います。ストレートに最後の方法だけを教えることも可能です。しかし,初めての計算に立ち向かうときには,今自分がもっているものを駆使して,何とかその問題に立ち向かう。これが子どもたちに必要な力「計算について考える」ということだと私は捉えています。ロマンだけの授業でした。

 

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