前時にはじめて「かけ算筆算」を学習しました。最初はその手順を復習します。計算の書き方は,今までの加減と同じで,位をそろえてかきます。計算方法は,位ごとに計算して最後に合わせますので,基本的な筆算の書き方を確認します。
 その上で,省略した形である「一般的な筆算」の手順を再確認します。この手順の中に,かけ算独特のものがあります。それは,「数を斜めにかける」ということです。従来の加減では,縦に並んだ数字同士で演算をします。しかしかけ算の場合は,かける数を基準にして,斜めに計算することも必要になります。この違いを確認します。
 復習の後は,「筆算になれよう。」という明確な技能めあてを設定したあと,次の問題(レベル2)を提示してやらせます。多くの児童が「先取り学習」などの影響でできています。しかし話し合いの場面では,そのような「形式」は一切無視して進めます。
 まず,位ごとに計算する「基本の筆算」で答えを出します。どちらの位から計算しても結果は同じです。これを省略形で計算します。すると,答えの十の位のところに,2つの数字が入ってしまいます。これではうまくいきません。そこで,ここに入るべき繰り上がりの「1」を小さくかいて処理することを伝えます。子どもたちは「わが意を得たり」という顔をしています。
 この省略形を,十の位からやっていくと,先ほどと同じ問題が出てきてしまいます。せっかく書いた「6」を消さなければならないことになります。そこで,
「かけ算の筆算は,一の位から計算する」
という,手順を押さえます。
 基本手順を押さえたので,2問ほど練習します。この時黒板上で押さえたことは,
「繰り上がりは,書いてもかかなくてもどちらでもいい。」
ということです。繰り上がった数字を自分が覚えていられるのであれば書く必要は全くありません。覚えられない児童だけがかけばよいことです。この段階では,多くの児童が「必要感」を感じていないので,書かない児童の方が多く見られました。
 小黒板で練習題を4つ出題し,代表児童に筆算を書かけました。すると面白いことに,「繰り上がりをかかない児童」がいました。さらに「繰り上がりらかく児童」では,繰り上がりをかく場所に違いが見られました。上にかいた児童ば,
「塾で習った。」
と言いました。なのでここで,
「書く書かないも自由。どこに書くのも自由」
と,数学での大切な考え方に触れることができました。これで泣いていけない,というのが算数では最も避けたい考え方です。
 この後は,練習題をたっぷり行いました。慣れるには「問題数」が必要です。筆算の場合は,そこは忘れてはなりません。もちろん「家庭学習」も配慮します。

 

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