前時に,九九表の中の縦2個を隠してその和を考える学習を行いました。まずその復習から始めます。「3×6 4×6」のところを足すと,「7×6」になります。同様に「5×3 6×3」のところを隠すと,九九表にはありませんが,そこからはみ出した「11×3」が答えになりました。ここまで確認した後,
「今日は,これの逆をやります。」
と,告げました。逆というのは,九九からはみ出た場所にあるかけ算の答えを,九九表の中から2つの式で見つけていくことです。
最初は「13×7」です。この式を分解した2つの式を九九表から見つけます。これは今までのルール通り「6×7 7×7」のところでこの式になります。まずがんばってこの2つの式の場所を見つけました。
さらにもう一つ「15×9」でも考えていくと,同様に「7×9 8×9」が見つかったのですが,別の児童が違う2つの式を考えていました。それは「9×9 6×9」と,縦に並んでいない,離れた2つの式を見つけたのです。これでも答えはあっていることを確かめました。今までのルールから離れますが,その結果に「おーっ。」という感嘆の声が上がったので,新しいルールとしてこのような見つけ方でもよいことにします。
次の問題は「14×6」です。この場合「縦に並んだ場所」は見つけられないので,どうしても離れた場所を使わざるを得ません。そのようにしかけをしていたのですが,その前に子どもたち自身でルールを発展していってくれていたので,多様な意見が出てきました。
いくつかの式が出てきたあと,さらに「10×6 4×6」という分解も出てきました。「それって,九九じゃないよ。」
という声が上がりますが,10×6は特に難しい点は見られません。そこでここでも子どもたちの意見をもとに,ルールを広げていきました。九九表に10の段を加え,「九九+α」で見つけていくことにします。
新しいルールで「12×8」を考えます。半数近くが「10×8 2×8」を選んだのですが,同じ数を使う「6×8 6×8」に加え,「4×8 8×8」も出てきました。そこでこの式にした理由をたずねると,
「繰り上がりがない。」
という反応が返ってきました。なるほどそうなっています。この反応に対する問い返しは,
「繰り上がりがないとどうしていいんですか。」
です。そうすると「計算が分かりやすい。」という言葉が返ってきます。この言葉はこの後の一般化のためにとても大切な言葉です。それを引き出すことができました。
最後に,これだったらどうしますか,ということで「23×3」を示しました。時間がなかったので自力解決で終了しましたが,3つのかけ算にする児童と,「10×3 13×3」の2つにする児童がいました。そして当然「20×3 3×3」にする児童もいたので,次の時間に「計算のしやすさ」の簡単で話し合って一般化していきます。