「わり算」の導入場面です。啓林館の教科書は「等分除」から入っていますが,私は「包含除」から入ります。これは教科書会社で真っ二つに分かれている論争です。
まず,全体の個数を知らせないまま,そのあめを6個ずつ袋に入れていくことを課題とします。班ごとに,キューブと袋を配り,キューブをあめに見立て,本当に袋を作っていきます。最初の操作は,各班の班長がやります。簡単な操作のようですが,3年生進級直後の子どもたちにはかなり難しい人もいました。
それでも全部の班ができ,4袋できたことを確認しました。ここで,
「ということはもともとのあめは何個だったの。」
とたずね,「6×4」というかけ算を引き出します。わり算の裏にかけ算が潜んでいるということの素地です。
ここまでの操作活動を,言葉で表します。
「24個のあめを6個ずつ袋に入れると4袋できる。」
と,もっちゃりした表現で表しておきます。
この後は,副班長,その他の人々の順で,数字を変えた場合で操作を体験していきます。慣れてくると特に問題はなく,全員操作できます。この「操作の容易性」が「包含除」から導入する一つの理由でもあります。
黒板での言葉は,少しずつ省略した表現に変えていきます。「あめ」や「個」などを省略します。さらに「3個ずつ入れる」場面になると,8袋必要になりますが,子どもたちにわたしているのは6袋です。したがって,
「先生,袋が足りません。」
という声が上がります。それを待って,
「袋がなければ,何袋になるか分からないかな。」
と尋ね,3のまとまりを作っていけば,もし袋があった場合の袋の数も分かります。
この場面で,実際には「入れて」いないので,言葉の表現を「分ける」に変えます。最後に,2個ずつ分けるときは,袋を回収して,2ずつのまとまりを作って考えさせました。12袋になることも分かりました。(逸脱した数字ですが,操作でやるので問題なし)
これで全員が包含除の操作活動を体験しました。あめを20に変えて,黒板上で操作する活動も行った後,
「今日は,結局何をやりましたか。」
とたずねると,
「同じ数ずつ分けていった。」
という話に落ち着きました。これで本時のねらいは達成です。「わり算」の「わ」の字も出てきていませんが,この時間は体験が大切な時間です。