2月初旬に,某国立大学附属小学校の研究会に参加してきました。この学校には,夏休みにも参加させてもらったので,今年度2回目です。「その様子はこちら」
授業は3本見られました。1本目は,5年生の「割合」です。
2つのキャラクターを作り,その反応をアンケートしたという設定です。全部で210人にアンケートを取り,それを低学年と高学年に分けて集計しています。ちなみに授業者は,「Aのキャラクター押し」という立場で楽しく授業を進めていました。
さて,この集計を見て気が付いたことをいろいろと発表していきました。どれもデータをよく見ている発言です。その中で,全体的にどちらのキャラクターのほうが人気があるかを考えると,この数字だけ見ていると「A」のように見えるでしょう。低学年はBのほうが人気がありますが,その差は10%,それに対し,高学年はAのほうが20%上回っているからでしょうか。
そんな話をしているとき,一人の児童が。
「でも,人数が違っていたら変わるかもしれない。」
と言い出しました。確かに,全体は210人ですが,低高それぞれの人数は示されていません。そこで,まず半々の「105人ずつ」だったらどうなるかを計算しました。予想通り,Aが上回りました。これは「手計算」でやりました。
ここから,人数を変えて考えていきます。その際,表計算ソフトを使って,低学年の人数を入力すれば,自然にそれぞれの好きなキャラクターの人数がわかるようにして判定していく活動に入りました。
そうすると,低学年が140人(高学年70人)になった時,2つのキャラクターの人気が等しくなりました。それよりも多くなるとBのほうが人気があることがわかりました。高学年が少なくなると,20%上回っていることの有効性が薄くなるということなのでしょう。
ちなみに,今回設定の数字で,「損益分岐点」を求めると,「低学年の割合が2/3」になったときに等しくなります。だから全体の人数を210人としていたのでしょう。
授業はそのあと,このように「割合」であらわす方法は,実際の状況を「ごまかす」ことが可能になることを,店の「割引表示」として使われている(「二重価格表示」など)ことをおさえて終了しました。この辺りが「STEAM教育」なのでしょうか。
教材としては大変おもしろいのですが,このような「逆転現象」「損益分岐点」を考えることで楽しむのであれば,「40%引きと500円引き」くらいでなければ,難しすぎるのではないかと感じました。しかし子どもたちは大変表現力があり,楽しく拝見することがてきました。ありがとうございました。