学期末の特設授業として「シェルピンスキーのガスケット」を行います。これは,今年の夏の研修で取り上げられていた内容です。「その様子はこちら
 私はこの教材は,もう10年ほど前に「最後の授業」として取り上げたことがありました。「その様子はこちら
 数学的には「フラクタル」といわれる「自己相似性」を表した具体物の1つです。
 三角形をピラミットのように積み上げた8段の図を見せます。そして,
「この図の中に先生が規則正しく色を塗っていきます。」
と投げかけながら,上の2段と一番下の8段目の図を見せます。この図を見ながら,残りの3段目から7段目までの塗り方を予想させます。
 子どもたちの予想で圧倒的に多かったのは,上向きの三角形(逆三角形ではない)全てに色を塗っている図です。そこでまず,この場合だと「▲」が何個あるのかを考えます。
 式は「1+2+3+4+5+6+7+8」ということが分かります。そのうえで,
「この式を左から計算していく人はいないよねえ。」
と,あおります。実は以前に「ガウスの計算」を扱っていて,その時「虹の計算」という言葉がクラスで共通理解されていたのです。それを想起すればこの問題は簡単に計算できます。
 塗り方で次に多かったのは,「周りだけを塗る」という図です。これも規則正しくなっています。こちらも「式」を使って全部の数を求めます。1つの辺に8個の三角形が並んでいるので3倍にしますが,かぶっている頂点の3つを引くという方法が最初に出てきました。
 次に,各辺の数を1引いて「7個」にすればそれと同じものが3辺あるので「7×3」という式も出てきました。同じ考え方で,1辺を6個と考えると,3倍して頂点の3を足してやればよいことも分かります。これらは4年生の「式と計算」でやった考え方と全く同じことになっています。
 しかし,私が用意していた図は,このどちらでもないことを告げ,図の「右半分」だけを見せます。すると,
「分かった。」
という声が上がります。対称性でとらえる児童が多いようです。こうしてようやく「シェルピンスキーのガスケット」といわれる図が登場しました。
 これも「式」を使うと求めることができます。一番最初に見せた2段目までの「3個」の部分と同じものが全部で9個あります。したがって「3×9」となります。さらにこの図を俯瞰すると,「3×3」になる部分がさらに「3個」あることも見えてきます。そのため全体では「3×3×3」になることも分かりました。
 こうして,この塗り方の構造が見えてきました。そこでピラミットをどんどん下に広げていった図を見せます。子どもたちからは,
「すごい。」
「気持ち悪い。」
などの声が上がりましたが,3を何度もかけていくことで,▲の数が分かることに「不思議」を感じていました。この日は「3月14日」で「数学の日」です。こんな「数学」のもつ面白さを「調理」して授業を構成してみました。

 

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