6月中旬に,某小学校の校内研修に招かれて参加してきました。その学校の先生が,今年度「県レベルを超えた研究大会」で発表をするので,その元になる授業を行います。学校全体はもちろん,町の他の学校の先生方も参加されて研究会が行われるなど,町を挙げての取組になっていて,ありがたいことだと感じました。
 授業は,6年生の「文字と式」の活用場面です。「算数を学ぶ会」で少し事前検討していた場面です。「その様子はこちら」
 いくつかの「数列」を見せて,その「a番目」の式を考えるのが最終目的ですが,数列だけでは子どもたちには難しいので,何か数列が表している「場面」が必要になるのではないかという話をしていたので,授業者は具体的な場面を用意していました。

 例えば「奇数」の数列では,右のような正三角形で作った「ピラミッド」の,段ごとの数というのを用意していました。実はこの図は,私が「算数を学ぶ会」で紹介したので,それをそのまま採用したものです。
 授業者は,場面を用意していたのですが,子どもたち自身に一応場面を考えさせました。すると次のような発言が出てきました。
「1日目は1枚だけど,次から毎日おばあちゃんが2枚ずつせんべいをくれる。」
このクラスは,人数が3人です。山深い場所にあって素朴な地域の素直な子どもの反応です。しかし,私はこの発言は,そんな情緒的なものではなく,数学的な価値がある発言だと感じました。
 私は「1,3,5,7,9…」という数字を見て,「奇数」としかとらえられませんでした。だからピラミッドなどを思いついたのです。ところがこの子どもは,「数列」としてきちんととらえていたのです。この数字の並びは「等差数列」です。具体的には
「初項1,等差2の等差数列」
です。これを的確に表した言葉が,先の
「1日目は1枚だけど,次から毎日2枚ずつせんべいをくれる」
となっています。
 実際の授業は,この発言は軽く流され,用意していたピラミッドなどを示して考えていったのですが,かなり難しく,苦戦する展開になってしまいました。
 私は,後の研究会で代案を示しました。あの発言をそのまま取り入れ,そのせんべいの増え方を「1+2」「1+2+2」「1+2+2+2」などと板書していきます。するとそのうち2がいっぱいになるので,「1+2×4」などと,かけ算の式に変えていこうとする動きが出るはずです。
 この式をさらに上下に広げていく(上には「1+2×1」「1+2×0」などと広げられる)と,a番目の表現に行き着くと思われます。難しさは「a-1」をどのようなしかけで導き出すかということになるでしょう。
 この数列は,最後まで洗練させれば「2a-1」になりますが,小学校では「1+2(a-1)」までで十分ではないでしょうか。
 そのような話で盛り上がった授業研究会になりました。素晴らしい発想で,私などよりもはるかに豊かな感覚をもっている子どもたちに脱帽です。

 

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