教科書に「プログラミング」のページがあります。正多角形の作図をプログラミングで行います。この場面は,プログラミングの典型例として,初期から事例に挙げられていた内容です。しかしこれをそのまま授業したのでは「算数の授業」とは言えません。私なりにこの場面を算数の授業にし,さらに発展的に見ていく内容として実践してみます。
 「スクラッチ」を使います。すでに経験している児童と,全く初めての児童がいるようで,特に先行知識があるというわけではなさそうです。
 正〇角形の代表として「正四角形」から考えていきます。基本的なプログラムは私の方で示します。動きとして「100歩動かす」と「90度動ごかす」を命令すれば作図できます。この命令を具体的なチョークの動きで「アナログ」でイメージ化しておきます。イメージ化できた段階でタブレットを開け,実際にプログラミングをして正四角形を作図しました。
「次は,正三角形を作図したいけど,このプログラムのどこを変えたらいいかな。」
と発問します。これにはすぐに,
「60度動かす」
と,角度を変えれば作図できるという意見で一致しました。そこでこの数字を入力して作図してみると「正六角形」になってしまいました。これは予想外でした。そこで「こうなるはず」と思っていた動きと,実際の動きをチョークでアナログで見せます。すると子どもから,
「えっ,そっちに反応するんだ。」
という呟きが起こりました。これは素晴らしい呟きです。「そっち」がどこのことを言っているのかを全体で探り,いわゆる「外角」の部分を指していることに気づいていきました。
「だったら,120度にしたらできる。」
というので確かめました。
 ここまでの結果を踏まえて,次は「正五角形」を作図するにはどうすればよいのかを考えます。子どもたちの意見は「72度」と「108度」に分かれました。この段階では子どもたちは「そっち」の場所をイメージしながら算数を使って図形的に考えています。
 2つのイメージをチョークで示し,どうやら72度になりそうだということで確かめてみました。
 これで「正三角形」から「正六角形」までに4つのデータがそろいました。この結果を「○や△」を使った式に表していきます。ちょっと前に学習した「変わり方」の学習です。今回も3つの式ができました。
 これを利用して「正八角形」「正九角形」「正十角形」を作図する場合の角度を考えていきます。ここからは「図形的な見方」から離れて「関数的な見方」で角度を求める活動に転換されています。
 計算で求めた角度を利用すると,正多角形が見事に作図できることを知ってこの時間は終了しました。次時は「発展的」な内容に踏み込んでいきます。

 

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