前時に正多角形の定義を学習したので,本時は自分たちでその図形を作図していきます。ただし,一般的な「円を利用した作図」ではなく,まず「定義にしたがった作図」から入ります。
 正三角形の作図は,3年生の時に「コンパス」を利用して作図しています。角度を利用して作図するのは5年生で「合同」を学習した時に,一般三角形の中の特殊な形としてやっている程度です。なので,まず教師が師範するところを見せます。
①まず1辺5㎝の辺をかきます。
②その辺の右側に60度の角をかきます。
③新しくできた辺の5㎝に印をつけます。
④その印と最初の辺の左端をつなぐと完成。
 利用したのは「辺の長さが5センチで等しい」と「角の大きさが60度で等しい」を利用しています。これが「定義にしたがった作図」です。図形の外側からかいている,というとらえ方もできます。正四角形(正方形)になっても,手順が1つ増えるだけで同じことです。
 ここで,作図に要した要素の数を確認します。正三角形では3要素,正四角形では5要素になっているので,以前に学習した数と同じことになっています。
 この2つの作図を全体で確認した後,個別作業で正三角形から正八角形までを作図していきます。(正七角形は除く)子どもたちは,最初は簡単だと言っていたのですが,辺の数が大きくなってくるとかなり大変なようで,
「あっ,間違えた。」
など苦労している様子がよく分かる言葉が飛び交っていました。確かに人間がこの作業を何度も繰り返すのは骨です。同じことの繰り返しですが精度が問われます。このようなことが得意なのは「機械」「コンピューター」です。プログラミングによる作図でこの方法がとられているのはそれが理由です。
 苦労している子どもたちに朗報を知らせます。
「大変そうだから,みんなにこれを使ってもらいます。」
と言ってわたしたのが「時計板」です。これを利用して「正三角形」「正四角形」「正六角形」などが作図できないかを問うと,すぐに,
「点をつないだらできる。」
と言ってあっという間に作図してしまいました。
 この作図を「時計を使った作図」と名付けました。あまりにも作業の難易度が違うので子どもたちから,
「最初から言ってよ。」
という言葉が聞かれましたが,この作業が次の時間への布石になっています。

 

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