神無月下旬に,某国立大学附属小学校の研究会に参加してきました。コロナか゜でリモート開催が続いていたのですが,久しぶりに対面での開催となり,フェリーに乗って参加してきました。授業は2本見られました。
 1本目は6年生の「資料の選び方」です。クラスで「就寝時間」のアンケートをとった結果が黒板に示されています。10:45を中心に正規分布的に分かれています。「ドットプロット」「度数分布表」「ヒストグラム」「平均値」「中央値」が示されています。
 これらの資料を使って,2人の母親を説得しよう,というのが課題です。Aさんは,小さいころから「8時には寝る。」としつけられたようですが,最近周りの人の話を聞いて,それは早すぎるということに気づき,もう少し起きていていもよいことを訴えようとしています。
 一方,Bさんはいつも10:45に寝ていて「もっと早く寝なさい。」と言われてているようですが,これで問題がないことを母親に訴えようとしています。
 話し合いでは,8:00に寝ているのが極端に一人だけ早いことはどの資料を見ても分かるので,その点を主張しようとしています。一方10:45の人が「平均値」「中央値」「最頻値」でもあることから,特に問題ないということを主張しているのですが,そのうち話が変わってきました。それは,
「自分たちの寝る時間が,一般的なクラスより遅いのではないか。」
という意見からです。つまり「データを疑ってみる」という行為に進んだのです。これは大変すばらしいことです。すると今度は,
「専門家の意見では小学生は9:30ごろがいいらしい。」
と,データ以外の部分を持ち出して話を始めました。多面的にとらえる必要性についての言及になっています。
 こうして,相手を説得させるためには,客観的なデータに加え,別の資料を組み合わせて説明する必要性が押さえられて終了しました。この授業は,教師が進めるのではなく,子どもたちが司会などをしながら進めていたので大変すばらしいと思いました。
 一方,データの活用という点では,Aさんはこのクラスで話し合った方法でよいと思うのですが,Bさんに関しては
「専門家の資料を使うと,早く寝なければならないようになるので,あえてクラスのデータだけを示す」
などの話が本人から出ていれば,本当の意味での「資料の活用」になってのではないかと感じました。
 今のはやりの授業だと感じましたが,子どもたちにとっては身近で「本気になれる」題材だったと思います。ありがとうございました。

 

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