啓林館独自の特設単元「見積りを使って」を学習します。啓林館では学年ごとにこのような「大体の計算」を取り扱っています。暗算を大切にする延長線上で「概算」「見積り」などを大切にする方向性です。
 子どもたちには「買える?買えない?」と題して見積りを考えさせていきます。見積りの意味もここで約束しておきます。
 3人を登場させます。それぞれ,3000円,4000円,5000円をもっているという設定です。ある商品を2つ買った時に,買えるか買えないかを判断させます。
 2つの品物の代金が書かれた短冊を「ちらっ」と見せます。一瞬なのでよく分からないのですが,
「3000円の人は買えない。」
という声が上がってきました。その理由を聞いてみると,
「千の位だけを足しても3000円で,後のお金があるから買えない。」
と言ってきました。これは多くの児童に納得されます。その考え方を整理して板書にまとめていきます。これは「低く見積る」という方法になっています。言葉による説明も,( )抜きでまとめさせます。
 次は,5000円をもっている人を考えます。今度は必ず買える,ということになります。最初の児童は,
「1000の位で3000円で,残りがどちらも999円だったとしても買える。」
と説明しました。しかし浸透はいまいちです。999の意味がよく伝わりません。すると別の児童が,
「999円を1000円にしたらいい。」
たった1円の違いなのですが,こうするだけでその意味が多くの児童に伝わりました。実際にはこの2人のアイデアは同じ発想になっています。しかし999円では「5000円」がなかなかイメージしにくいのです。
 このアイデアは,「高く見積もる」ことになっています。整理して言葉による説明もなぞらせておきます。
 最後は,4000円の場合です。最初に「四捨五入」という意見が出ました。四捨五入すると4000円になるので買える,というのですが,そうならない場合も出てきてしまいます。しかしその「2000+2000」という式は利用できます。
「実際の金額は,この2000よりどうなっているかな。」
と尋ねることで,
「150円安い」「130円高い」
などを引き出し,この2つを合体させると「20円安い」という結論が導き出せます。このアイデアを「さしひいて見積もる」ということでまとめました。
 見積りにはこの3つのやり方があり,それぞれを使い分けていく必要があります。教科書で練習をして定着させていきました。教科書の2時間分を1時間で進めています。
 『ノートにしゃべろう』は,3000円の人(名前は私の名前にしている)が,一番安い2つのを品物を買うことができるかどうかを見積もってもらいました。この場合は「さしひいて見積もる」方法が選択できなければなりません。この時,「1500+1500」をベースにさしひいていく児童と,「1000+2000」をベースにする児童に分かれました。どちらも素晴らしい見積りです。
「先生,何も買えないね。」
という落ちで終了しました。

 

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