「啓林館」独自の文章題単元「表を使って考えよう」に入ります。教科書と同じように紙テープを使います。まず紙テープを1回折って開けた後,
「折る前と変わったところはありますか。」
と尋ねました。子どもたちからは「折り目」「長方形の数」「横の長さ」などが出てきました。前者2つは教科書で扱われている素材です。この点をまず押さえておいてから,本時の課題に進めます。
本時は,紙テープを折った後,そのど真ん中にはさみを入れて,切り離します。その時できた「パーツ」の数を問題にします。1回折りのときはイメージしやすいでしょう。子どもの説明では,
「左にばらばらの2枚ができて,右につながっているパーツができる。」
と,イメージ通りの説明がなされました。
2回折りになると意見が分かれます。ばらばらが3枚とつながっているもの1枚で4パーツになる,という意見が出てきました。それに対し5パーツという予想もあり,それは
「左のバラバラの2枚,右にバラバラの2枚とつながっているもの1枚で合計5枚。
というものでした。実際に切ってみると,
「左につながっている2枚,右にバラバラの2枚とつながっている1枚」
となって5枚になるということが分かりました。この切り方は,どちらか一方は,ひとつ前の状態と全く同じ状況になるのですが,そこはさすがに出てきませんでした。
3回折りになると,「分析」する児童と「数字の変化」に目をつける児童に分かれてきます。最初に変化を考えた児童は,
「2増えたから今度も2増えて7パーツになる。」
と予想しました。それに対し反論が出てきました。
「0回切りだと2パーツなので,+1増えて,次が+2だから,違うと思う。」
と1つ前のことを考えてきました。
「だったら次は+3になって8パーツになる。」
という予想も出てきました。
一方「分析」する児童は,テープの絵をかき始めました。すんなりと落ちたわけではありませんが,まず
「折り目が7になることを確認します。その間にはさみが入ることになるので,折り目付きのパーツが7枚,そして両端にバラバラのものが2枚で9枚になる。」
と,分かりやすく説明してきました。これには多くの児童が納得しました。実際にやってみるとその通りになっています。
これで変化のきまりが見えてきました。次は8増えることになると予想し,その通りにになりました。こうして「帰納的」にきまりを見つけて考えるときには4つ程度の事例が必要であることを押さえました。,
この後は,最初に出てきた「折った回数」と「折り目の数」「長方形の数」を調べていきます。実際に折ったものを用意して観察させたり,自分で頭の中で折ったりして考えるなど,その子なりに進めていきました。
それぞれを表にしていくと全て先の「パーツの数」と同じような変化(階差数列)をしていることが分かりました。
この3つの変わり方を,一つの表のように重ねてまとめました。そうすると見えてくることがたくさんあります。これを『ノートにしゃべろう』にお題として終了しました。この時のきまりにはいろんな見方ができます。
「長方形の数」を基本に見ていくと,その数だけはさみを入れるのでパーツの数「+1」になります。(植木算)折り目は長方形同士の間の数になっているので「-1」(植木算)になり,どちらも植木算の構造になっています。折り目の数から長方形を見れば,両端の2枚が「+2」になります。
このような分析は小学生には無理ですが,数字のもつ不思議さを少し味わえたのではないでしょう。