「単位量あたり」の単元に入ります。導入は,「混んでいる」のイメージを話し合います。子どもたちから出てきたのは「道路が混んでいる」「駅前が混んでいる」など,人や車がたくさん密集している様子を表しているようです。対義語として出てきたのは「すいている」という言葉でした。この時間はこの2つの言葉について考えていきます。
長方形の紙をAの「部屋」に,マグネットを「人」に見立ててある部屋の状況を作ります。この部屋の混み具合は人によって違います。
「誰が一番広々としてすいていますか。」
と尋ねると全員が「赤」と答えます。なので,その赤の人が「占有」している部分を赤く塗ります。
他の人でも同じことをやっていくと,色によって専有面積に大きな違いがあり,バラバラになっていることが分かります。そこで,
「これじゃ不公平なので,みんなが平等になるようにできないかな。」
と尋ねると,マグネットを並べ替え始めました。多くの人が納得する並べ方に変えます。このようにしてバラバラだった占有率が均等に均されているので,このことを「平均する」という言葉でまとめました。
続いてBの部屋を登場させます。明らかに広い部屋になっています。この部屋に6人を入れます。最初はマグネットを集中しておきましたが,「平均にする」ということで均等に並べたうえで,
「AとBの部屋はどちらが広々としていますか。」
と,今度は部屋と部屋を比べる問題に転換しました。ここまでの活動を経ずに,いきなりこの問題に入ることをよく見かけますが,どの部屋にも平均的にちりばめたうえで,部屋同士を比較しているのです。
この場合は,人数が同じなので,部屋の広さで比べることができます。まずこのことを押さえてしまいます。
ここから人を増やしていき,7人,8人,9人だったらどうなるかを考えていきます。直感での予想を言わせていると数名から,
「部屋の広さが欲しい。」
という意見が出てきました。なので,それぞれの部屋の1辺の長さを教えて,自力解決としてまず「8人だとどちらが広いかな。」と,問題を焦点化しました。
多くの子どもたちが「計算」を始めました。面積を人数でわって「2」を出しています。まずその式を全体で見た後,2の意味を追求していきます。すぐに「一人分の部屋の面積」という言葉は出てきます。しかしそれを「図」に戻って本当に「2㎡になっているかを確かめます。
一人の児童が,ノートに絵をかいていたのでそれをマグネットでやるように指示すると,図をうまく2㎡になるように区切っていきました。両方の部屋で同じようなことをすると,どの部屋も1人が2㎡ということが図によって見えてきました。これで一応8人の場合は解決ということになります。
時間が少なくなったので,『ノートにしゃべろう』で7人や9人を考えることにしました。今度は計算せず,「8人のときが同じ」を利用すれば,増えた・減ったで判断できます。それで判断できていたのは1/3です。そんなものでしょう。この時間の考え方を使って次時以降に一般化していきます。