6月上旬に,3年ぶりに「母校交流会」に参加してきました。コロナが明けて対面で授業研究会ができる喜びをかみしめながら参加させていただきました。授業は3本見られました。1本目は5年生の「合同」の導入です。
 導入素材は,左のように,円周上に等間隔で8つの点を打ちます。これら8つの点のうちの3つをつなぐと三角形ができます。このような三角形が何種類できるかを考えていく過程で,自然と「同じ形」ということに目が向けられ,そのような観点で話し合いが進んでいくことを仕組んだ教材です。
 私は同じような素材を3年生の「三角形」の導入で使っています。この時も話し合いでは必ず「同じ形」が話題になります。なので子どもたちのそのような自然な発想に培った教材です。
 しばらく時間をとって三角形を作らせています。このような自分たちで図形を「構成」しているのもこの授業の特徴です。一般的には与えられた図形同士を比較することが多いからです。
 できた三角形を1つずつ提示していきます。すると「同じ形」のものが登場すると子どもたちが指摘し始めます。最初は「回転させたら同じ形」になるので,円に描かれたまま回すことで同じ形になっていることが何となくわかります。さらに進めていくと同じ形を説明するために,
「間の数が同じ。」
という言葉が出てきました。つないだ点と点の間にいくつの点があるか,という発想です。この発想が必ず出てくるのがこの教材の特徴で,だから私は「正三角形」「二等辺三角形」の導入に使っているのです。なかなか辺の長さに着目しないものなのですが,必ずその話につながってくれるからです。「その実践の様子はこちら」
 「裏返したら同じ形」というものが出てきました。これは指導者がハサミで切り取り,裏返して重ねる作業を代表児童にさせていました。このような操作をもっとたくさん全員の子どもにやらせることができればなおよかったと感じました。
 この活動を四角形にも広げます。今度は8種類の四角形がありました。(三角形は5種類)子どもたちがみんなで協力して見つけたのですが,本当にこれ以上はないのでしょうか。これを「点の数」で整理してみます。
 右のように,三角形の場合は数字が3つなので,和が5になる3つのたし算の「組み合わせ」になっています。三角形なので,三辺が決まれば三角形が決定します。だから「組み合わせ」なのです。
 一方,四角形の方は「和が4になる4つの足し算」になります。しかし数字の組み合わせが同じでも,その配列によって図形が異なってきます。四角形の場合は4辺が決定するだけでは四角形が決定しないのです。これらを数え上げると全部で8種類になります。
 自然に「同じ形」に目が向くとてもよい教材だと感じました。個々の操作を豊富にさせるような「展開の工夫」が加わればなお効果が上がるでしょう。今後の課題と言えます。
 この方の授業を見るのは2回目だと思います「以前の授業はこちら」が,子どもたちを見取る目線の向け方など大変成長していることを感じさせてくれました。今後の活躍に期待したいと思っています。ありがとうございました。

※この授業と同じような実践を私は今年行いました。「その様子はこちら

 

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