学期末の特設授業として「ガウスの計算」を行いました。1から9までの和を計算するときに,ペアを作って工夫する計算を「ガウスの計算」と言います。子どもたちは普通に出題すると,それに近いような「工夫」をして計算しようとします。
一番多いのは「10のまとまり」を作る方法です。「1と9」「2と8」などで「10」を作っていくと4ペアができ,最後に真ん中の「5」が残るので,10×4+5=45となります。これが発表されたとき,一人の児童が,
「5がかわいそう。」
と言ったので,板書します。これはとてもいい言葉です。すると別の児童が,
「それなら違う方法がある。」
と言って出てきたのが右の方法です。ペアのなかった「5」に,ペアとして架空の「5」を設定すると「10」のまとまりが5つできます。しかし架空の「5」は本当はないのでひかなければなりません。それでこのような式になるというのです。この実践は何回かやってきたのですが,この式は初めて見ました。
違うまとまりの作り方も出てきました。今度は「9」のまとまりを作ると,単独の「9」を合わせて9が5つできます。この9は一人で立派な9なので「かわいそうじゃない。」と子どもたちは言いました。
そうなると「11のまとまり」を考える児童も出てきました。11が4ペアあり,「1」が余るので最後に足すというわけです。「9」「10」と来たので「11」になったのでしょう。
ここから,数字を2桁にします。いろいろな方法を知った子どもたちは,分かりやすそうな方法を選んでやり始めました。「110」や「99」のまとまりを作る児童がほとんどです。架空のペアを作る方法も出てきました。
しかし,出てこなかった方法もあります。それは「位ごとに考える」という方法です。1けたの和が「45」になったので「10+20+…90」が「450」になることを利用する方法です。これは自然な形では出てこなかったので,私の方から指導したのですが,やはり子どもたちから出てくるようにしたいものです。それならば第2問として最初から,
「10+20+…30」
を直接的に提示してもよかったのかもしれません。
この後は,桁数をどんどん増やしていきます。ここへ来ると「位ごと」に考える児童が増えてきました。結果の規則性も見えてきました。4と5にはさまれで9がどんどん増えていきます。
『ノートにしゃべろう』のお題は「奇数の和」にしました。ほとんどの児童が「まとまり」を作って考えています。位ごとにやった児童や,偶数の和を求めて引く児童などもいて,いろんなアイデアを考える楽しさを味わいました。