前時に「小数×小数」の計算を暗算でする方法を一般化したので,その復習と称して3問ほど取り組みます。最初の2問は暗算でできるはずです。しかし最後の1問は,途中の整数計算が難しく,筆算が必要になります。子どもたちは「計算用紙」に筆算をして考えています。それらの方法を確認した後,
「どうしても,筆算が必要なので,最初から小数で筆算をしていくことにします。」
と告げ,本時の「めあて」としました。
 先の問題を例に,筆算の方法を「指導」します。筆算指導の場合,子どもたちに余計なことを考えさせて「這い回る」より,単刀直入に指導していくことの方が大切です。「小数第1位まで同士」「小数第2位まで×小数第一位まで」「小数第一位まで×小数第二位まで」の3タイプの問題で例示します。
 筆算の書き方として,位をそろえるのではなく,最後の位をそろえる(右をそろえる)ことなど,こちらからどんどん示してやります。さらに「小数点のつけ方」も,いたずらに考えさせるのでなく,教科書にある方法を,倍関係の見方に触れながら教えてしまいます。
 こうして,小数のかけ算の筆算の方法を,教科書のようにまとめてしまいました。ほとんど,子どもたちが考えた部分はなく,こちらからの指導になっています。これが私の「筆算」学習の時のセオリーになっています。
 ここからは徹底的に「習熟」に向かいます。小黒板に15問を一気に出題します。これらは,この日に指導する3つのタイプ(仮にABC型)を,
「ABCABCABC…」
の順に並べて出題しています。計算の速さは個によって様々ですが,どんなスピードの児童でも3つのタイプをまんべんなく練習できるようにしています。また,「解答」を下に示しているので,1問するたびに答え合わせをし,正解にならなければ次の問題には進まない,というルールにします。
 早くできた児童は,教科書の練習題に取り組ませます。こちらも答えは示してやっていきます。教科書の問題の場合,タイプ別に出題されているので,遅い児童は,特定のタイプしか練習しないまま終わってしまいます。それを防ぐための,私の「習熟の時間」の指導方法の典型の1時間でした。

 

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