2月下旬対面研修3本目は,1年生の「大きな数」です。100を超える程度の数を「多様に見る」ことのできる児童の育成を目指しています。
 前時までに「お金」を使っていくつかの値段の表し方を学習しているようです。本時はそのお金を「色別の円」に置き換えて同じようなことをやることからスタートです。なぜ円に変えたのかというと「数直線に表す」ためのしかけだったようです。ただ,その点については後の研究会で「直線に置き換える」「大きさを変える」などの工夫が必要だったのではないか,という意見に集約されているような感じます。(私は個人的には,数直線がどう役に立っていくのかは理解できませんでした)
 「36円」で基本的なことが押さえられた後「113円」を多様に表していきます。タブレットを使っていろいろな表し方を考え,「提出」したものの中からいくつかが紹介されていきました。
 私が後の研究会で指摘させていただいたことは,なぜ「113」なのかということでした。その意図は十分に伝えることができなかったのですが,意図は次のようなことです。
 「数の多様な見方」はもちろん大切です。例えば「30」という数の見方として,左のようなものがたくさん考えられます。全て大切な見方ですが,全てが「同列」ではありません。30に対して「①の10が3個」というのは絶対に理解しなければならない見方です。次に大切なのは(①と一緒かもしれない)「②の3が10個」という見方です。この2つが「十進位取り記数法」に則った見方です。この2つに対して「③以下の見方」は,「こんな見方もできればすばらしい」というレベルのものです。それなのにこのタイプの授業には「②の3が10個」という見方が扱われないまま「③以下の見方」ばかりに重点が置かれているように感じるのです。「以前の指摘はこちら」そうなる理由は「お金」を使うため「5円」しか使えないのです。(3円玉はない)だから私は,話し合いの中心は「53円」など「五十何円」(何円の部分は5を超えない)でやるべきだと思っています。
 この日の研究会では「代案」まで示せませんでした。今代案として考えているのは,
「32人が,113メートル離れた店まで歩いて行って53円のあめを買いました。」
などという文章を示し,
「この中に出てくる数字をいろいろに表してみよう。」
と投げかけ,まず「53円」から考えるときに,手立てとして「お金」を利用させます。それによって①と②の表現を引き出し「テンプレート」のような形に残しておきます。
 次に「32人」にしてお金から離れ,テンプレートを利用して意図的に②の表現ができるようにします。その上で「簡単な3位数」(113メートル)にまで進められればベストです。
 1年生で本当にここまでできるかは分かりませんが,ここを目指さなければならないのは絶対だと思っています。
 元気いっぱいの1年生で,タブレットなども自在に使いこなしていて素晴らしいと思いました。3本の授業を見て,今年度の研修は終了です。関係された全ての方々に感謝したいと思います。

 

にほんブログ村 教育ブログ 算数・数学科教育へ
にほんブログ村