2月下旬対面研修2本目は,3年生の「三角形」です。正三角形や二等辺三角形の基本的な作図の仕方を学習した後,条件を厳しくして作図させようとする活用授業です。
 具体的な条件とは「コンパスを1回だけ使う」ということです。一般的には「2回」使わなければ作図できないように感じます。この場合の「使う」とは「針を刺して動かす」という意味で,コンパスのもう1つの機能である「測り取る」は自由に使えるようです。
 どんな二等辺三角形でもよいということで,子どもたちは白い紙の上に作図を始めました。3年生でどれだけ解決できるか注目していたのですが,結構よくできていたのですごいと思いました。
 最初に出てきたのが右の方法です。まず適当な「1辺」を取ります。この辺の端に針を刺し,辺の長さを半径にして円を描きます。その円の上の1点と先の辺をつなぐと二等辺三角形になっています。なぜなのかを説明していく活動の中で,円の半径の性質や二等辺三角形の定義などが子どもたちの口から自然に語られていきます。円を使ったこの教材は,与えられた図形に対しての説明になりますが,今回は,自分たちでやった図形の話なので上手く表現が引き出されます。
 この後,別の作図の仕方へ話が進んだのですが,参会者から,
「最後に取った1点はそこしかないのかな。」
などと投げかけ,どこに点を取っても二等辺三角形になっていることを押さえたい,という発言がありました。その通りだと思います。それが分かっていることが本当の理解になるし,正三角形に近いものなどが出て,その話に進んでいく発展のきっかけにもなります。
 私はこの教材を見て,一番素晴らしいと思ったのは,右のような発言が次々に出てくることです。これらの発言は,子どもたちが苦手とする「任意」を表しています。具体的な数字が与えられた二等辺三角形を作図する方が子どもたちは楽です。「何でもよい」と言われたときに動き出せない子どもたちが多いのです。それを払拭させるような取り組みになっているのですごいと思いました。この作図方法は「等辺を先に作図する」という特徴があります。一般的には等辺が最後に決定されるので対照的です。
 大変面白い教材を紹介してくださった授業者と,たくましく考え・表現していく子どもたちに感謝したいと思います。

 

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