速さについて「第1用法」ではありませんが,時速・分速などを求めることはできるようになりました。それを受けて,教科書であれば「第2用法」「第3用法」と順に進めていくところですが。私はそれらを「混在」させて学習していきます。
 左のような「オープン」な問題にして,着くのか着かないのかを自分なりに判断させる場を設定しました。
 5分ほどの自力解決で,子どもたちから引き出せたのは2つのアイデアです。それを発表させます。最初に出てきた式が「11-7」の4だったので,この4の意味を全員で確認します。次に「20×4=80」という式が出てきて,その意味が「4時間に進める道のり」ということだったので,その「証拠」を「四ます関係表」を使って確かめさせます。比例関係を前提としたこのまとめ方はかなりできるようになってきました。
 2番目には「1000÷20=5」という式が出てきたので,同様の活動をして判断していきました。実はこの方法が子どもたちの中では一番人気です。第3用法なので難しいはずなのですが,「着く・着かない」の判断は「時間」という要素が最もイメージしやすいのでしょう。計算結果と与えられた条件を照らし合わせて「着かない理由」を言葉で説明することも忘れてはいけません。
 ここからもう一つの「第1用法」である「速さ」を求める方法を引き出します。そのための発問が,
「着かないんだねえ。何が悪かったんだろう。」
です。これに対して「6時に出発すればよかったんだ。」という発言に加えて,
「時速25kmで走らなくちゃ。」
という呟きがありました。それを取り上げ,その速さを求める計算を今までと同様に確かめていきました。
 3つの方法が出そろったなら,「振り返り」を行います。それぞれ条件の中から2つを選び,それを使って計算した数字と,残った条件を照らし合わせて判断していることを押さえました。
 これが「混在」させる目的です。無味乾燥に与えられた数字で,別の数字を出すだけでは主体性はありません。自分からアプローチするというのはこういうことではないでしょうか。
 ここから「適用題」に入ります。分速を使った同じような問題ですが,今度は「間に合う」との判断を行います。子どもたちはやはり「第3用法」で時間を求める方法が多く,
「ぎりぎり1分や。」
などと言っています。何人かは「第2用法」で道のりを求めていました。「速さでもわかる。」と言って第1用法の児童も出てきました。出てきた式と答えだけを小黒板に示し,問題文のどの数字と比較すればいいのかを押さえます。
 『ノートにしゃべろう』は,3つの方法のどれが自分好みなのかをかいてもらいました。第3用法を選んだ児童が7割弱。理由は,計算した後の判断が,時間の比較なので分かりやすい,ということでした。第2用法を選んだのは1/4。理由は,四ます関係表にした時に式が立てやすい,ということでした。1人だけ,問題によって違う,という意見でした。

 

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