前時に長方形の紙を折って真ん中を切った時のパーツの数を考えていきましたが,5回折りの時の結果がはっきりしません。子どもたちの予想では「33」が多かったのですが,無理やり切って数えると「32」しかありません。そのうち「34」という児童も出てきてあいまいなままです。この点についてははっきりしないということでいったんストップし,よく似た「教科書の問題」を考えることにしました。
教科書の問題は,長方形の紙を折るところまでは同じで,その時に折り目によってできる「長方形の数」を求めていく問題です。実際に紙を折らせながら表を埋めていきます。できた表を見ると「2倍」ずつ増えていることが分かります。ここで大切なのは「なぜ2倍になるのか」ということです。子どもから出てきた説明は,
「折ると,大きさは半分になるけど,2倍になる。」
「それぞれの長方形が2つに分かれるから。」
「2倍の紙の厚さになる。」
と,イメージをもった説明が出てきました。
そうするとこの段階で,前時の「パーツの数」との関連を見始める児童が出てきました。「1ふえている」ということが帰納的に見えてきます。(この1増える,はなぜの説明が難しい。長方形の数だけはさみを入れるので「植木算」の論理で1増えるのですが,それは説明できないでしょう。)
さらに「前の数を2倍して1引く」という,漸化式のようなきまりを発見した児童も出てきました。このきまりは昨日出てきても不思議はないのですが,きまりを見つける,という流れの中で発見できたようです。(このなぜは,折ることで左右対称のミニチュアの前回図ができているが,中央でつながっているので1減ることになります。この説明も難しいでしょう。)
教科書の第2問は「折り目の数」です。これも実物を折りながらまとめていきました。さっきの「長方形の数」より1小さくなっています。このなぜは比較的わかりやすくなっています。子どもたちから,
「長方形の数と間の数になっているから。」
という意味の説明が出てきました。これは「植木算」そのものの説明になっています。
さらに「パーツの数」と比べると「2増える」ことが分かります。この「2」は,前時の板書を電子黒板にうつすことで「なぜ」へ向かわせます。板書を見ながら,
「分かれたパーツの中に「2」は見えないかな。」
と尋ねます。パーツには「長いバーツ」と「短いバーツ」がありますが,「短いパーツ」はいつも2枚になっています。これに対して一人の児童が,
「それは,端っこの2枚だ。」
と言いました。切るときのイメージができている空間概念があります。しかしその2がなぜこの2なのか。グループに1枚紙をわたして実際に3回折りで切らせます。やはり短い2枚ができました。ここで残りの「長いパーツ」を見直します。なぜ長いのかと言えば「折り目を挟んで左右対称」になっているからです。つまり長いパーツの数は「折り目の数」そのものだったのです。
これが明らかになって子どもたちからは,感嘆の声も上がりました。こうして2時間かけて,3つの変化の関係を「なぜ」が追求できる形で授業構成してみました。