「割合」の単元に入ります。小学校の算数授業で最も難しい時間です。(3大難関教材でその中でも最高)過去,いろいろな方法を試してきましたが,最近は「シュートの上手さ」で導入しています。
シュートを「赤」(ゴール)と「白」(失敗)で表します。Aさんはシュートを10本打って6本ゴールしています。Bさんはシュートを10本打って5本ゴールしています。この2人の比較の場合「ゴール数」でも「失敗数」でも比較できます。まずこの点をしっかり話をさせておきます。
続いて,Cさんを登場させます。12本シュートを打って6本成功させました。子どもたちからは,
「Bさんと同じだ。」
という声が上がるのでその根拠をノートに書かせます。最初に出てきたのは,
「どちらも,ゴールの数と失敗の数が同じだから」
という説明です。この説明は分かりやすいのですが,教師の意図としては「シュート数とゴール数を比べてほしい」というねらいがあるので軽く触れておきます。次は「半分」という言葉が出てきました。これは「シュート数とゴール数」を考えているので必ず取り上げなければならないところです。
BとCが「同じ」という話になったので,次はAとCを比べます。今度も判断と根拠をノートに書かせます。「失敗の数」ということに触れたがる傾向がみられるのですが,何とかして「シュート数」に目をむかせる必要があります。そこで一人の児童の考えを取り上げます。それは,
「ゴール数が同じ6本なので,シュート数の少ないAさんが上手」
という意見です。これで基本的な「どちらかがそろった場合」の比較は完了しました。
「この3人は,何点だろうねえ。」
と,シュートの上手さを「得点化」する発問を入れました。これは「全体をなにかとみる」考えになっています。なにも「1とみる」だけにこだわる必要はありません。実際子どもたちからは,Bさんを「50点」「5/10点(0.5点)」「5点」というように点付けをしました。そうするとAさんは「60点」「0.6点」「6点」ということになります。
ここでEさんが登場。(Dさんは8本シュートで4本ゴール。すぐに同じと分かったので登場させたのは失敗でした。)15本シュートを打って9ゴールです。しばらくすると,
「Aといっしょじゃないの。」
という意見が出てきたのでその検証に入ります。
まず子どもたちからは「分数」にするアイデアが出てきました。分母がシュート数,分子がゴール数です。そうするとEさんは「9/15」となり約分して「3/5」になります。そうするとAさんも「6/10」で約分して「3/5」となり「同じうまさ」という結論になりました。これらは結果的に「全体を1」とみたことになっていますが,実際にはシュートやゴールの数を書き並べただけで,割合の考えには至っていないでしょう。
もう一人は,その分数を作るために「わり算の式」に表しました。すると子どもの方から,
「計算で小数にしたらいい。」
という話になり「0.6」という数字が導き出されました。この数字は,先のAさんの時に見られた数字になっています。
さらに別の児童が,100点満点と考えて,シュート1本あたりの得点を求め,ゴール数をかけて計算する方法が出てきました。
このあたりで時間いっぱいです。ねらいには到底たどり着けていませんが,この後使えそうなアイデアはいくつが出てきたのでつないでいきます。