「平均とその利用」の単元に入ります。今年はいつもの教材にアレンジを加えます。昨年から,ある先生の「全国大会」での発表のために一緒に考えてきた内容です。
陸上大会の練習をしている3人から,代表1名を選ぶ,という課題です。9月に当地で本当に陸上記録会があり,この方式で選手1名を選びました。したがってそのイメージはつかみやすくなっています。ただしこのままだと6年生の「代表値としての平均値」のような扱いになってしまいます。
最初はAとBの2人を比べます。2人の1週間の練習結果をグラフで示しました。「20㎝」を一つの単位としてそのいくつ分かを積み上げていく「棒グラフ」になっています。A君の月曜日は20㎝が4つ積まれているので80㎝ということになります。これで2人のデータを示しました。
ほとんどの児童がこの記録を合計しています。Aが500㎝,Bが400㎝になるのでAということになります。このように合計で簡単にくらべられます。
一人の児童は,データの傾向に目をつけました。安定としているという表現をしてきました。これに対して周りの解釈で「差が激しくない」「ほとんど一緒」などの言葉が継ぎ足されていきました。この見方は6年生につながります。
ここでCさんの結果を見せます。月曜日から木曜日までは他の2人と同じように結果が出ましたが,金曜日がありません。その理由は,
「金管バンドの練習のため欠席」
となっています。これは本校の練習でも同様のことがありました。金管バンドに所属している人は,優先的にそちらの練習に参加することになっているからです。そうすると,
「合計が400だから,Aさんが代表だ。」
「でも1日少ないから,不公平だ。」
というような話が出てきます。そこで,
「もしCさんが金曜日にとんでいればどうなったのだろうか。」
ということにし,4日間のデータから金曜日を予想する,という流れにもっていきました。これで代表値から,4日間の「測定値の平均」の考えに近づけることができたと考えています。
子どもたちには,班に1つずつ,動かすことのできる棒グラフを配りました。(仲間の全国大会発表向けの授業では,全員に配っていた。「その様子はこちら」さすがにそこまではできなかった。)
最初はなかなか「動かす」という発想には流れていないようでした。どちらかと言えば「最大」などに目が向いています。しかし一番高くとんでいる140㎝のところを外した児童がいたので,
「それをどこに置くの?」
と尋ねると,一番低いところにもっていきました。するとほかの児童から,
「あっ,じゃあ。」
と言いながら,どんどん移動していくようになりました。
これで金曜日は「100㎝」という考え方になりました。そうするとほかの2人も同じことがしたくなったようで,操作してみると,Aは100㎝,Bは80㎝になり,AとCが同点という結論になりました。こうすれば,練習した日数が違っていても比べられることになります。
この考え方を「平均」ということを伝え,チョークで描かれた棒グラフで平らにならす練習をして授業は終了しました。この均す作業をもう少し経験した後,一般的な学習に進めていきます。