霜月末に某私立大学附属小学校の研究会にリモートで参加させていただきました。その学校にも2度くらい行ったことがあり,「割合」の研究を重点的に行ってきたという印象があります。
今回は5年生の「単位量あたり」の学習で,これも「異種の量の割合」なので一貫した研究の続きと言えるでしょう。左のような3つの部屋の混み具合を問題にしていて,前時に「広さが同じなら人数」で「人数が同じなら広さ」で比べられることは学習済みのようです。本時は,広さも人数も違うAとCを比較する時間です。展開としてはオーソドックスなものと言えます。
子どもたちからまず出てきたアイデアは「分数」を使う方法です。分母を広さ,分子を人数にしています。このままでは比べられないので「通分」して分母をそろえています。この「通分」が実際の場面でいえば何をしていることになるのかが問題となりました。単に数字上の処理ではなく,分母を48にそろえたのは「部屋の広さを48㎡」にそろえたことになっているという話になりました。
しかしここで問題となったのは,もともとの「12㎡に7人」という混み具合と,倍分で作った28/48である「48㎡28人」が,「同じ混み具合」にと言えるのかどうかです。この学習ではここをどう認めさせるのかがポイントになります。
これを説明するために「図」が登場してきました。最初は全く同じスケールのテープ図で,数字だけが違うものです。典型的な「割合」での説明ですが,これだけで全員がすっと落ちるわけではないでしょう。
次に出てきたのは,横幅は同じですが縦幅が異なるテープ図を並べたものです。これは「面積が4倍」になったことはイメージできますが,それに伴って人数も4倍になったことがどけだけ伝わったでしょうか。
私はこのテープ図は初めて見ました。単位量あたりではこのタイプの図は登場しにくいのが一般的でしょう。多いのは人間を○などで表したもっと素朴な図だと思います。一方,この図はテープ図のように見えますが,上下に広さと人数を表す数値が書かれているので「対応数直線」と同じだとみることもできます。この場面の学習に有効な「図」というのがこれから大切な課題になってくるかもしれません。
一方,「単位量あたり」で考えていた児童もいるのですが,それらの児童が,
「何かをそろえたわけではない。」
という認識になっていたのも興味深く感じました。「1人」にそろえていると思うのですが,そこに気づかないのが不思議に感じました。
都合であとの研究会に参加できなかったのは残念でした。しかしとても興味深い内容で,大変勉強になりました。生配信なので臨場感もありました。関係されたすべての方々に感謝したいと思います。