勤労感謝の日に,某国立大学附属小学校の研究会がリモートで行われました。この学校には行ったことがなく,最近はリモートでの参加ばかりになっていますが,熱心にたくさんの研究会を企画されていて,頭の下がる思いです。授業は5年生の「割合」の2時間目です。
1時間目には「シュートとゴール」という定番の素材を使って,」「シュート数が同じならゴール数で決まる」「ゴール数が同じならシュート数で決まる」ということを確認しています。
さらに左のような状況の場合の比較として,シュート数を分母,ゴール数を分子にした「分数」で比較したり,それを計算した「小数」で比べられることも共通理解できているようです。
これを受けてこの時間の問題は「同じうまさで12本のシュートを打った時」の結果を予想することでした。「同じうまさ」というのがどういう意味なのかを追求していく課題です。一般的には「どちらがうまい」ということを考えさせますが,「同じ」がどういうことなのかを考えさせるという課題は私自身も大賛成です。
まずAは,もともと6本のシュートを放っているので,同じことが繰り返されれば条件を満たします。これはほとんどの児童がイメージできたでしょう。さらに言えば「元と同じうまさ」を作り出すことができればつけ足していけばよいということを表しています。
これを受けて今度はBを考えます。Bは8本のシュートを打っているのであと4本打ちます。しかし元のシュートは8本です。この「図」を半分にすると,片方は「○×○×」で,もう一方が「○○○○」になります。こちらの前者をくっつけるとどうなるでしょう。おかしくなるといいます。その理由として「4シュート中2ゴール」と先の「8シュート中6ゴール」が同じうまさではない,という話し合いがなされます。
この話し合いがとてもいいのです。「同じか同じじゃないか」という話なのでシンプルな話になります。またグループで話をしている中にも大切な言葉がたくさん聞こえてきます。「〇と×を入れ替える」と左右が同じうまさになるとか,左右で同じにするということは均していて平均みたい,などという言葉です。
授業者は,この話の内容を板書にシンプルに受け止めていきます。「4シュート」が一つのテープ図のように見え,その全体を「1」と考えていることなどが子どもたちからどんどん引き出されていきました。「小数」を使ったアイデアにもなっていることも説明されていきます。
時間不足でCの話はほとんどできませんでしたが,一人の児童から,
「一日中算数をしていたい。」
などというすてきな言葉もはっきり動画で確認できました。
大きなしかけ教材などは全くないのですが,割合の導入場面としてはこれまで見た中でベストではないかと思いました。「同じ割合」のイメージを作るということの意味がよく分かる授業で本当に参考になりました。ありがとうございました。