「比とその利用」の単元に入ります。導入は「同じ味はどれ?」です。5年生の時に家庭科で「フレンチソース」を学習しているはずなのでその時の「油」と「酢」の割合を題材にしています。身近なもののようですが,コロナ禍゜で昨年度(今年度も)家庭科で調理実習ができていません。教科書等では学習しているのですが,実感がわかないようです。
 先生が示した「基本のフレンチソース」の作り方を知った6人の子どもたちが,家でそれを再現しようとしている場面です。これを見て「同じ味」と「違う味」に分けていきます。
 まず子どもたちから「違う味」と言われたものを取り上げ,その理由をノートに説明していきます。子どもたちは様々な説明をしていたのですが,まずは意図的に「割合」を求めて考えている説明を取り上げます。基本のソースは酢が油の1.5倍になっているのに対し,この児童の作り方では2倍になっていることを確認し,「すっぱすぎる」という結論を導いておきます。
 さらに違う味を取り上げます。一見2と3という数字が見えますが,酢と油の量が逆になっているので,割合を求めると「0.666…倍」になります。これでは「油っぽい」味になることを確認します。
 ここまでの活動で,この問題を考える場合,2つのものの「割合」を考えなければならないことが分かりました。
 次に「同じ味」になる理由を考えます。ここまでのことから,子どもたちが作ったソースが「1.5倍」になっていればよいことが分かります。最初に取り上げたソースは,一見すると両方2缶ずつ入れていますが,1缶の量が違うので,油が2L,酢が3Lになり,1.5倍になることが分かります。
 ここで,割り算を使って割合を計算しなくても,油と酢の量だけを並べて書くと分かりやすいという「比による表し方」の素地を取り上げます。今までの場面でも出てきていたのですが,あえてここまでは取り上げていません。割合の問題であることが意識された段階で,このような表記を用います。
 さらに別のソースは,説明文での酢と油が出てくる順序が逆のため,一見違う味になるように感じますが,順序を正しく整理すれば基本のソースと同じことになります。このことにより「順序を意識して表す」という比の大切な考え方を押さえました。
 ここまでくればあとは「用語」「表記の約束」などの「教えること」を指導します。そして先の「違う味」になるものの比やクラスの子どもたちの数を使って比で表す練習をして終了しました。

 

 にほんブログ村 教育ブログ 算数・数学科教育へ
にほんブログ村