冬リモート研修の2本目は,4年生の「複合図形」の面積です。よくある「L字型」は前時に学習しており,さらなる活用問題として,左のような「正方形」と「長方形」が重なった図形の面積を考える問題でした。
この問題の場合,提示の仕方にいろんな方法が考えられます。重なっていることを隠して全体の形だけを見せる方法,実際に2枚の形を見せた後重ねていく状況を見せる方法,などがあるでしょう。今回は「重なった形」ということを明示した上で,最初から重なっている形を見せました。重なっている部分を「点線」で表しているので,とても「丁寧」と言えるでしょう。
一方,辺の長さは全く示していません。その上で,
「いくつの形に分けるとできそうかな。」
と尋ね,3つの形に分けるとよいことが全体で話し合われました。さらに,
「8つある辺のうち,何本使うと求めることができるかな。」
と,用いる辺の数を問題にしていきました。どうやらこれが本時のねらいのようです。しかしここでも全体で話し合い,
「6本でできそう。」
ということがなんとなく全体に共有されていきました。
この後「自力解決」に入りました。約15分ほどでしたが,よく見るシーンとした時間ではなく,勝手に子どもが近くの友達と話し合いながら進めているのです。これは本当に素晴らしいと思いました。急に子どもたちが「ばらばらにされる」という印象がもたれがちのこの時間に,本当に「対話」ができているように感じました。
ただ,数字なしで,「どの辺を使えばできるか」だけを考えるのは,学級によっては難しいのではないでしょうか。この日の子どもたちはとてもよく考え,その後の話し合いも充実したものになっていましたが,クラス全体のことを考えるとこのままどのクラスでもできるかどうかは疑問が残りました。
授業はいろんなアイデアを出した後,数字が与えられ,どの方法でも同じ面積になることを確認して終了しました。
この教材はとても面白いので,自分のクラスでやるとしたときのいくつかのアイデアを考えてみました。
①使う辺の数を問題にするならば,「できるだけ少ない数でやってみよう。」という意識でやらせたい。8つの辺の記号を書いたカードを貼り,裏に長さが書いているという設定で,できるだけ少ない情報だけでやりたい,という気持ちを喚起したい。そのためには,自力解決前の全体での話し合いはもう少し少なくしたい。
②6つの辺を使うことが一般化されたなら,「縦3本」「横3本」になっていることに気づかせる活動を入れたい。そのためには「使わなかった辺」に着目する必要があるだろう。
③重ねる部分を動かす活動を入れたい。上記の問題であれば「面積を100平方センチにするためには,どう重ねればいいかな。」と投げかけ,重なる部分が「6×8」になるようにすればよいことを発見する展開が考えられる。
他にもたくさん考えられるでしょう。この日の子どもたちは,長さがなくてもしっかり話ができていました。「もしここが90だとすれば…」などという発言は大切な表現ですし,図形の周りがマグネットになっていて説明しやすくなっているなど,授業者の工夫も素晴らしいものでした。
おそらく今の社会状況がなければ参加できていなかった研究会です。2本の授業を時間をずらしながら配信してくださった学校の体制もすごいことです。関係された全ての方々に感謝したいと思います。