「2桁×1桁」の学習を本格的に進めていきます。最初の授業の目的はズバリ,
「九九の外にもかけ算がある」
ことに気づく授業です。いわゆる「九九の拡張」の場面です。昨年のこの時期某小学校で見た授業と同じ場面です。その時の協議に対する「アンサー」授業です。「その時の様子はこちら
  九九表を見せます。そこに縦長の長方形をのせて,数字を隠していきます。ちょうど2つ分が隠れるようになっています。この2つの隠れた数字の和を考えていきます。いくつかの場合を確認していると一人の児童が,
「すぐ下に答えがあるよ。」
と呟いています。その話を確認している途中で,
「いや,でも下にないときもあるよ。」
という児童も出てきて,それに同意する児童もいます。どうやら隠す場所を自分たちで変更しているようです。このような動きは「教師の前を歩く姿」で大変貴重な動きです。
 さらにそれに対しても,
「いや,どこか下にはあるよ。」
という声も聞こえてきます。そこでそれを確かめていきます。いくつかの場面で確かめていくと,すぐ下というわけではありませんが,少し離れて答えがあることが分かりました。さらにその離れたところに対して,
「上から隠したところまでの数と,隠したところから答えまでのマスの個数が同じになっている」
という,過去の実践でも出てきた発見が見られました。そうこうしている内に,
「6の段より上だと答えがない。」
というのでその意味を確かめていると,
「その見えていない下にあるんだよ。」
という声が聞こえてきました。これが,
「子どもが自分で九九を超えた」
場面で,これを「拡張」と呼ぶんだと思っています。子どもたちから「11の段」という声が聞こえはじめました。その位置に「77」と書いて,「見えないところに見えている」と子どもたちの視点を集約させていきました。
 ここからは,逆向きに進めていきます。まだ習っていないかけ算でも九九を使うとできることを感じてもらうためです。
「12×6はまだ習っていないけどどうしたらいいんだろう。」
と尋ねました。すると,
「いっぱいある。」
といいます。最初に出てきたのは「6×6と6×6」です。九九が分かれば計算できます。それに対し,「まだある」と言った児童が,
「サクランボで12を5と7にしたらできる。」
と言い始めました。ちょうどこの頃チャイムが鳴ろうとしていたので確認だけして次時につなげていきます。

 

 にほんブログ村 教育ブログ 算数・数学科教育へ
にほんブログ村