各地で「オンライン授業」が始まっている報道を耳にします。一口に「オンライン」と言っても,一方通行で学習を提供するような(動画等で)ものから,ZOOMなどでお互いのコミュニケーションがある程度できるものまであるようです。私の身近では前者の形でなんとかやろうという話も起こっていて,いずれ私もやる日が来るのかもしれません。その日が来たことを考えていくと,一般的な算数の授業で何ができるのかを考えてみました。
算数の授業は,最初に問題を出します。これはオンラインでもできるでしょう。やりとりの中から作っていくこともありますが,そこは目をつむることにしましょう。問題が分かればそれぞれがそれに対して何かを言い始めます。それを広げながら進めてくのが私の手法に近いのですが,それはできませんので,
「とりあえず自分でやってみましょう。」
と言って,動画を「ポーズ」させて考えさせるのでしょうか。
子どもたちがそれなりに自分の考えを持ったところで再生開始。しかし自分の考えを発表することはできませんし,友達の意見を聞くこともできません。おそらく先生が「予想」していたいくつかの考えを「紹介」するようなことになるのではないでしょうか。その後はいくつかの考えの中から,よりよい方法が先生の考えで選択されていくしかありません。
こうして1つの考えが一般化されると,新しい適用題が提示されるか,「教科書○ページの△番をやりましょう。」と言って,またポーズをかけ,できれば正解がどうかの確認がされて,授業は終了するのでしょうか。
現状できることはこんなことかな,と思って綴ってみると,この授業は典型的な「問題解決形」になっていると感じます。途中の「先生の予想していた考えの紹介」は実際の授業ではあり得ない,と思われるかもしれませんが,自力解決で選択してボードに書かせて発表させる,というのは限りなくそれに近い行為でしょう。
逆に,オンラインの授業ではできないこととして,
◎子ども同士のやりとりで問題を設定していくこと
◎問題に対して感じたことの呟きを拾いながら全体で解決していくこと
◎不十分な説明表現に対し,全体で高めていこうとする活動
◎適用題の正誤を自分たちで判断すること
などが挙げられることが分かりました。
現状では仕方ありません。機材の工夫で解消できることもいくつかあるでしょう。何か一歩進めることは絶対に必要なのでこの動きを後退させてはいけないと思います。逆に言えば「できないことが何なのか」をきちんと意識してやっていくことが必要になってくるような気がします。
いずれにしても一刻も早く状況が回復して,「予想外の子どもの反応にたじたじになる授業」で自分の力量を高められる日が来ることを願っています。